岐阜プラスチック工業グループのプラスチック食品容器部門であるリスパック㈱は8月25日、バイオマスプラスチック容器の供給体制のさらなる強化とスマートファクトリー化に向け、関西工場の「第2期工事」に着工すると発表した。今回の投資は単なる生産設備の増強ではなく、脱ナフサ、資源自立化という社会変化を見据えて、バイオマスプラスチック事業を同社の中核事業へと発展させるための戦略投資となる。

●石油依存脱却へ 安定供給と価格面で追い風
2026年春以降の中東情勢の混乱に伴い、プラスチック原料の基礎原料であるナフサの調達リスクが顕在化した。「脱ナフサ」という考え方が産業界で注目される中、石油資源への依存を低減し、安定した資源調達につながる植物由来プラスチックへの注目が集まっており、世界各国では植物由来プラスチックの原料製造プラントへの投資が進み、生産能力の拡大が相次いでいる。こうした世界的な供給基盤の整備も背景に、植物由来プラスチックは環境対応だけでなく、資源の安定確保という観点からも、その重要性が高まっている。さらに、脱炭素社会の実現に向けた世界的な取り組みが加速する中、国内では「プラスチック資源循環促進法」や2026年4月に施行された「改正資源有効利用促進法(改正資源法)」により、再生可能資源(リニューアブル資源)の活用拡大が求められている。

●バイオマスプラスチック容器の売上比率65%から80%へ
リスパック関西工場は、植物由来のバイオマスプラスチック食品容器の生産拡大を目指す次世代型パッケージ工場として、2024年4月に稼働を開始した。稼働当初は9素材、4,600アイテムだったバイオマスプラスチック食品容器のラインアップも、環境配慮型製品へのニーズの高まりを受け、現在では11素材、5,400アイテムへと拡大している。

同社はこれまで、植物由来素材の研究開発から量産技術の確立まで、長年にわたりバイオマスプラスチック製品の普及に取り組んできた。脱ナフサや資源自立化という社会の変化を背景に、これまで培ってきた技術とノウハウが、新たな事業機会につながる段階を迎えたとしている。今回の第2期工事は、そうした市場環境の変化を捉え、当初計画していた設備拡張を前倒しで実施するもの。需要拡大への対応と安定供給体制の強化を図るほか、バイオマスプラスチック事業を同社の中核事業へと発展させるための戦略投資と位置付けている。

同社のバイオマスプラスチック製品は、環境意識の高まりを背景に需要が拡大しており、容器売上全体に占める植物由来バイオマスプラスチック製品の割合は、現在65%に達している。弁当容器本体として使用されるPPF製品は、すでに全製品で植物由来バイオマスプラスチックを採用している。さらに、透明容器として使用されるA-PET製品についても、今後順次、植物由来素材への切り替えを進めていく。これらの取り組みにより、バイオマスプラスチック製品の売上比率を80%まで高めることを目指す。

●「原料調達~製品化~再資源化」を目指す循環資源モデル
今回の第2期工事では、バイオマスプラスチック製品の生産能力を高めるだけでなく、品質向上とコスト競争力の強化を図るスマートファクトリー化を推進する。生産・物流インフラの拡張や工程の自動化、AIをはじめとするデジタル技術、ロボットの活用等を通じて、より効率的で安定した生産体制の構築を目指す。

さらに同社では、植物由来樹脂の1つであるポリ乳酸(PLA)の乳酸成分を回収し、エネルギー資源として再利用するガス化技術の研究にも取り組んでいる。原料調達から製品化、再資源化までを見据えた循環型社会の実現に向け、次世代の資源循環モデルの構築を目指していく。

●リスパック関西工場「第2期工事」概要
投資規模・内容:60億円(成形エリア新設、自動ラック倉庫増設、既存工場のスクラップ&ビルド)
生産能力:既存設備比で約1.5倍の生産能力および人員配置最適化による大幅なコスト改善
バイオマスプラスチックの売上構成比:全容器売上に占めるバイオマスプラスチック容器比率を現在の65%から80%へ引き上げ
スケジュール:2026年12月増築着工 → 2028年より本格稼働(予定)

●リスパック関西工場「第2期工事」完成イメージ図