三井不動産㈱は12月5日、同社が開発および管理運営を行う三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)・三井不動産インダストリアルパーク(MFIP)の従業員・トラックドライバーを対象とした顧客満足度調査を実施し、約7,000人(従業員約5,700人、トラックドライバー約1,300人)より回答が得られたことから、同日回答内容の一部を公表した。
(1)三井不動産初のトラックドライバー調査
今回の定量調査では、トラックドライバーの約8割が休憩所や喫煙所をほとんど使用しておらず、使用していると回答者の中でも約6割が「バース入庫までの時間がある場合」のみ設備を利用しているということが判明した。個別ヒアリングの内容も含め、物流施設内において、常にバースへの入庫タイミングを気にしながら、時間に追われ、慌ただしく食事やトイレ等を済ませている実態が判明した。
調査により判明したトラックドライバーの労働状況、施設の利用状況等の実態をもとに、DX活用や様々な施策を組み合わせ、トラックドライバーの労働環境改善をサポートし、物流2024年問題(※)の解決に取り組んでいくとしている。
※2024年4月1日から働き方改革関連法がトラックドライバーに適用され、時間外労働の上限が年960時間(月80時間)となることによって生じる諸問題
●個別ヒアリングでの回答内容
・「荷主からの入庫許可の連絡に遅れたくないので、待機場でもトラックは離れません」(MFLP市川塩浜II)
・「行き先がすぐにわかるよう、物流施設に入った瞬間に受付や入居企業が分かる看板表示があるとよい」(MFLP茨木、MFLP日野)
●今後取り組む改善策
ドライバーの荷待ち時間削減に寄与するHacobu社の「バース予約システム」を2023年10月より全施設標準採用としている。さらなるテナント企業の導入促進や、「バース予約システム」を入退場時の車番認証と連携することを一部施設で導入する等、一層の効率化の検討を進めていくとしてる。
また、今回の調査結果を踏まえ、新築物流施設の設計段階において以下の点を検討していくとしている。
○トラックドライバーが利用しやすい場所にあるトイレ、休憩所およびコンビニ等の配置検討
○動線、案内標識、サインをより効率性を重視した仕様に改善
既存物流施設の管理運営においては以下のような施策を検討する。
○トラックを離れずとも受けられるサービスの提供
(2)従業員への施設満足度調査
●調査結果
従業員を対象とした調査では、「防災センターの対応」「警備担当者の対応」「清掃状況」「ラウンジ」の施設のハードおよびソフト面の満足度について、「満足/大変満足」が8割以上を占めた。2018年、2021年に実施した過去の調査に続き、高評価を維持しており、今後も施設のハードの充実と運営を中心としたソフトの改善を実施し、従業員が働き続けたいと思える施設作りに取り組んでいくとしている。
また、調査のフリーアンサーでは、施設の満足度について高い評価の声がある一方、従業員の管理者からは労働力確保と雇用の維持において施設側の設計・運営上の細やかな対応が重要というニーズが確認できた。
●顧客の声(従業員)
・職場が家から近い。施設が綺麗で休憩室にコンビニやテレビもあるので、寛げるから長く働きたい。(MFLP日野)
・一緒に働いている人達が、優しくて働きやすい。設備が整っており、車通勤が出来る。ラウンジが綺麗。トイレ等衛生面が清潔なので、働き続けたい(MFLP海老名I)。
●顧客の声(従業員の管理者)
・「立地場所、定期設備点検の対応力、防災センター・警備員の的確な対応等が安心できる」(MFLP広島I)
・「十分な座席スペース、清潔で十分な数のトイレ、空調環境が従業員の雇用には重要」(MFLP船橋I)
●改善の仕組み
調査結果を全物件の所長にフィードバックし、各物件で1つ1つの結果を精査し、アクションプランの作成および必要な施策は予算化し、継続的な改善に努める。今後も定期的なCS調査を実施し、従業員のニーズに合わせた改善を継続し、選ばれる物流施設の開発・運営に取り組んでいくとしている。
(3)調査概要
実施時期:2023年8月21日(月)~9月7日(木)
対象物件:23物件(関東・中部・関西・中国エリア)
対象テナント数:約110社
対象者:施設の従業員・トラックドライバー 約2万名(従業員/約1.4万名、トラックドライバー/約5,000名)
回答数:従業員/ 5,718回答(回答率43%)、トラックドライバー/1,345回答(回答率27%)
設問数:従業員/23問、トラックドライバー/17問
調査方法:WEBアンケート