アスクル㈱は11月1日、100%子会社のASKUL LOGIST㈱が運営する福岡物流センターに勤務するスタッフが、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の行う「令和5年度障害者雇用優良事業所等表彰」で、優秀勤労者として「理事長努力賞」および「機構理事長努力賞」を受賞し、10月27日に同受賞式が行われたことを明らかにした。

同表彰制度は、同機構が毎年9月の障害者雇用支援月間に障がい者の雇用促進と職業の安定を図るために開催しているもの。同社はアスクルが展開する事業所向け通販「ASKUL」と個人向け通販「LOHACO」で販売する商品の出荷・配送業務を担い、全国10か所の物流センターの運営を行っている。今回、九州全県と中国地方への出荷・配送を担う福岡センターで障がい者スタッフが優秀勤労障害者として理事長努力賞を受賞し、アスクルロジストスタッフは昨年に続き4年連続での受賞となったとしている。

●令和5年度 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 理事長努力賞
優秀勤労障害者:山口直紀氏

◎(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 福岡支部(発表)
https://www.jeed.go.jp/location/shibu/fukuoka/yuuryou2023_fukuoka.html

●福岡センターが取り組む「戦力としての障がい者雇用」とは
昨今のEC 需要の拡大に伴い、アスクルロジストが運営する物流センターにおける出荷量も増加傾向にあり、物流業界が直面している「人手不足解消」「生産性向上」は喫緊の課題。アスクルロジストでは、その課題を解決するため、アスクルとともに物流センターの高度自動化を進め物流現場のDXを促進し、作業負担の低減に取り組んでいるほか、働きやすい物流現場を実現するとともに、ダイバーシティの取り組みの一環として障がい者雇用に注力している。

アスクルロジストが障がい者雇用に向き合ったきっかけは、福岡センターで2011年に法定雇用率を満たすために障がい者雇用を開始したものの、短期間で退職してしまった経験からだったとしている。

再び雇用のため特別支援学校を訪問した際に「働く場所を提供するだけでは続かない、向き合う体制がなければ雇用は上手くいかない」との気づきを得て、学校や支援機関、家族、医療といった地域全体で連携した仕組みづくりの確立へ本腰を入れて取り組んだとしている。

最初に行ったのが、“障がい者雇用は慈善活動ではなく、事業活動”であり、“障がい者支援ではなく戦力として育成する”という意識改革と徹底した協力体制の構築。入社前の「インターンシップ」による事前準備から、入社後少なくとも3年間に渡るフォローアップを地道に実践することで、個人のみならず、組織全体の生産性向上という結果を生み出した。代表的なプログラムの1つに、入社前の「2か月間事前実習」がある。特別支援学校と家族を巻き込み、障害の度合いや個人の特性を実習期間中から1人1人把握し、本人に適した訓練メニューを考えた上で反復して理解を促進するもの。これにより、障がい者は入社後には即戦力として働くことができるようになるとしている。

その結果、福岡センターでは2012年に特別支援学校から新卒者を採用して以降、毎年採用を行い、2022年10月時点では、福岡センターの社員304名のうち59名を障がい者社員が占めている。福岡センターにおける障がい者の雇用率は19%、法定雇用率は29.9%に達し、センター内でのピッキング、商品補充、梱包、検品、事務など幅広い業務に従事している。応募者に対しての採用率は10年間で100%を実現し、定着率は81%に達しているほか、年次の長い障がい者社員はリーダー職に就き主力のスタッフとして活躍しているとしている。