日本GLP㈱は3月23日、兵庫県神戸市で国内最大級の全館冷凍冷蔵および全館可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設「GLP神戸住吉浜」の開発を行うと発表した。

延床面積は約4万5,000㎡で、収容能力は約5万2,000トン、2023年5月着工、2024年11月末に竣工を予定している。

「GLP神戸住吉浜」完成イメージ

冷凍食品業界は物量が伸長しており、2012年~2021年の間で、冷凍食品消費量の年平均成長率は2.2%、家庭用冷凍食品の国内生産金額は46%増加、年平均成長率は4.3%(※1)と堅実で、今後も安定した成長が見込めるマーケット。一方、冷凍冷蔵物流施設は、多額の設備投資がかかることや、消費地に近接した最適地の希少性等の課題があった。また、常温のマルチテナント型物流施設の一部に冷凍冷蔵設備を入れる場合、十分な仕様を満たせないこと、テナント負担による後工事の場合、退去時に原状回復工事が必要となること等の課題があった。

日本GLPは、このような顧客課題の解決に向けて冷凍冷蔵の専門チームを立ち上げ、部門を横断して冷凍冷蔵における知見を集約してきた。現在までに24棟(うち3温度帯:約65 万㎡、冷凍冷蔵:約22万㎡)の冷凍冷蔵物流施設の実績(※2)があり、うち8棟においては日本GLPによる冷凍冷蔵設備の設置を行っている。これらの経験から仕様やレイアウトの標準化を考案し、今回冷凍冷蔵倉庫の賃貸ニーズにより柔軟に対応すべく、全館冷凍冷蔵および全館可変温度帯仕様のマルチテナント型物流施設を開発するに至った。

開発にあたり、冷凍倉庫および冷蔵倉庫として必要十分な仕様を満たし、食品メーカー、食品卸、3PL企業等が、汎用性高く利用できる設計としている。マルチテナント型とすることで、様々な企業が小規模区画で入居可能となり、保管拠点と配送拠点を1つの拠点に集約させることに加え、入居企業同士の共創を目指す。さらに休憩室など快適な就労環境を提供するアメニティを整備するほか、冷凍冷蔵設備を入居企業に代わって投資をすることで、入居企業の投資負担の軽減をサポートする。日本GLPは今後、汎用的な冷凍冷蔵マルチテナント型物流施設の標準モデルを確立し、冷凍冷蔵倉庫利用の裾野を広げるべく取り組んでいく。

●日本GLPが開発する全館冷凍冷蔵マルチテナント型物流施設の3つの特長
・柔軟性
契約期間を常温の物流施設と同等、小規模区画・可変温度帯を採用、2層使いとし、高いトラックバース比率を実現。
・環境配慮・省エネ
自然冷媒(ノンフロン)、太陽光発電の館内還元、全館LED等を実施し、限りある資源を有効活用した施設づくりを実現。
・入居企業による投資低減
冷凍冷蔵設備に関わる初期投資、原状回復工事費、設備管理費について入居企業の投資負担ゼロを実現。

●同施設のサステナビリティについて
・BCP面では、地震対策として耐震性能の高いブレース[3] 材を採用し安全性を確保するほか、浸水や液状化対策を講じ、高い事業継続性を確保。
・環境への配慮では以下の整備を予定しており、地球・地域・社会環境に配慮した施設を目指す。
・ 自然冷媒の採用
・屋上への太陽光発電の設置
・全館 LED の整備
・緑化エリアの確保

「GLP神戸住吉浜」広域図
「GLP神戸住吉浜」周辺図

●施設概要
施設名:「GLP神戸住吉浜」
所在地:兵庫県神戸市東灘区住吉浜町19-24
敷地面積:約2万1,000㎡(約6,400坪)
延床面積:約4万5,000㎡(約1万3,500坪)
建築面積:約1万2,600㎡(約3,800坪)
収容能力:5万2,660t(C&F級:5万2,660t)
構造:地上5階建て、耐震RCS造
着工:2023年5月(予定)
竣工:2024年11月末(予定)
認証取得:CASBEE認証(予定)、ZEB認証(予定)

※1:出典:(一社)日本冷凍食品協会 令和3年冷凍食品の生産・消費について
※2:2022年12月末時点
※3:水平荷重(地震や強風によってかかる、横からの力)に耐える鉄骨構造の建築物を建てるために用いられる補強材。

●日本GLPの冷凍冷蔵物流施設特設サイト
https://glp.com/jp/lp/cold_storage.html