三井不動産㈱と日鉄興和不動産㈱は1月26日、「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」の着工にあたり、東京都板橋区で起工式を執り行った。なお、着工は2023年2月1日を予定している。

「MFLP・LOGIFRONT東京板橋」完成予想イメージ

同施設は、日鉄興和不動産が2021年6月30日に従前地である日本製鉄㈱の工場跡地を取得後、板橋区の地域の防災力向上に資するべく行政協議を重ねてきた。三井不動産が参画し、各社の実績、ノウハウを最大限に活用しながら、2024年9月(予定)の竣工に向けて今回のプロジェクトを推進していくとしている。

同施設では、免震構造、72時間対応の非常用発電機等のBCP対策をはじめ、車番認証、入退館管理などオフィスビル同等のセキュリティ計画とする等、業界トップレベルの施設スペックを整備するほか、物流業界の新しいニーズに対応する様々な施策や環境に配慮した取り組みを行い、持続可能な社会の実現に寄与する物流施設を目指すとしている。具体的な取り組みは以下の通り。

(1)ニーズが拡大する大規模冷凍冷蔵倉庫へ対応可能な、倉庫床荷重2t/㎡を整備
生活様式の変化を受けて市場拡大が見込まれる食品類Eコマースや、チルド配送のニーズ拡大に対応するため、1階には大規模なコールドチェーンを支える大規模冷凍冷蔵倉庫にも使用可能な床荷重2t/㎡を採用。また、物流業界では、既存の冷凍冷蔵倉庫の老朽化およびフロン排出抑制法が求める基準に未対応であること等が課題となっており、同施設はこのような課題解決の一助となることを目指す。

冷凍冷蔵倉庫イメージ

(2)将来的なドローン配送を見据えた賃貸用R&D区画の整備
物流業界で課題となっている労働力不足への対応等、産業分野におけるドローン活用の期待が高まるなか、2022年12月5日にドローンの有人地・目視外飛行(レベル4)が解禁(※)された。同施設では、広大な敷地を活かしたドローン飛行用のフィールドと倉庫の一部スペースをドローン事業者等への賃貸用R&D区画として整備し、ドローンによるラストワンマイル配送や災害時の支援物資搬送等、実証実験の場を提供することで産業発展に寄与するほか、将来的にはドローンの飛行ハードルが低い河川上空を活用して都心各地へアクセスが可能な立地を活かし、ドローンによる災害支援や物流配送拠点としての活用を検討する。

※2022年12月5日に改正航空法が施行。機体認証、無人航空機操縦者技能証明、運航ルールの新制度が整備された。

賃貸用R&D区画イメージ

同施設の着工に伴い、三井不動産および日鉄興和不動産は同日、板橋区・ヤマト運輸㈱と「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」を締結した。

板橋区が目指す、河川氾濫時における水害に強い安心・安全な街づくりの実現に向けて、同施設に隣接する「板橋区立・舟渡水辺公園」と一体となる高台広場、水害時の緊急一時退避場所や避難路等の防災上必要な公共施設の整備を行い、地域住民1,000人の緊急一時退避場所を確保する。敷地内の高台広場は緊急着陸用のヘリポートとしても使用可能。また、テナントにはヤマト運輸の入居が決定しており、災害時には支援物資の保管・配送拠点として活用することで地域防災を通じた街づくりに貢献していくとしている。

「災害時等における防災施設整備等に関する4者基本合意書」締結発表の様子。左から三井不動産の三木孝行氏、板橋区の坂本健氏、ヤマト運輸の阿部珠樹氏、日鉄興和不動産の吉澤恵一氏

●位置図

広域図

狭域図

●施設概要
名称:MFLP・LOGIFRONT東京板橋
所在地:東京都板橋区舟渡4-3-1
敷地面積:約9万3,200㎡
延床面積:約25万6,100㎡
規模・構造:地上6階建・S造(倉庫)・免震構造
設計者:日鉄エンジニアリング㈱
施工者:日鉄エンジニアリング・佐藤工業共同企業体
監修者:㈱フクダ・アンド・パートナーズ
着工:2023年2月1日(予定)
竣工:2024年9月末(予定)
※施設概要は変更の可能性あり