三井倉庫ホールディングス㈱(三井倉庫HD)は6月6日、東レ㈱から同社グループの三井倉庫㈱が受託する合成樹脂取扱業務において、AI-OCR技術(※1)を活用した出荷検品アプリケーション(※2)を導入したと発表した。
※1:文書の画像データを読み込み、記載された文字をデータ化する OCR(Optical Character Reader/光学文字認識)に、AI(Artificial Intelligence/人工知能)を搭載した技術を指す。
※2:Google Cloud Vision API サービスを利用
合成樹脂製品は包装材にバーコード等照合用の印字がないものが多く、当該製品の出荷検品業務では、包装材に記載されている製品コードの印字と出荷指示書を照合する必要がある。これまで、当該業務は目視で行っており、業務担当者の負荷、精度差等による照合ミスのリスクが課題となっていた。今回、同アプリを搭載した携帯端末を利用し、出荷製品の包装材に印字されている製品コードやロット番号等を撮影することで、目視に頼らず、出荷指示書と照合する仕組みを実現した。
これは、端末で撮影された製品情報(製品コード/ロット番号)をAI-OCR技術によって画像から文字データに変換し、WMS(倉庫管理システム)から端末に連携している出荷指示情報と照合を行う仕組み。これにより検品担当者の負荷が軽減されるほか、これまで目視に頼っていた出荷検品の精度向上と業務標準化および効率化を実現する。また、携帯型プリンタを用いた荷札の即時発行機能の利用により、照合が完了した製品に配送先や配送先住所等の出荷指示情報を荷札として添付することで、輸配送業者の利便性を向上する。
●今回の取り組みの特徴
①AI-OCR技術を活用した検品への移行による出荷検品精度の向上
従来の目視ではなく本アプリの利用により、現物表記のフォント違いや印字方法違い(印刷、スタンプ等)へ対応し、照合ミスのリスクを削減(※3)。
②出荷検品業務の効率化
目視検品と比較して時間短縮が可能となり、検品担当者の負担を低減。
③検品精度の標準化
担当者間の検品精度のばらつきを解消し、標準化を実現。
④即時の荷札発行による貼付間違い防止
携帯プリンタを活用し、配送荷札(納品先情報等)を現場で即時発行・貼付することで、貼付間違いを防止。
※3:2023年度の「ヒヤリハット」発生件数28件に対して、同アプリの導入(2024年7月)以降、発生件数0件を実現(2025年5月現在)