NIPPON EXPRESSホールディングス㈱(NXHD)と神奈川臨海鉄道㈱は10月16日、NXグループの日本通運㈱と神奈川臨海鉄道が、日産自動車㈱の栃木工場向け自動車輸入部品の一部をトラック輸送から鉄道輸送へ切り替えるモーダルシフトの取り組みとして、横浜本牧駅―宇都宮貨物ターミナル駅(※1)間における国際海上コンテナの鉄道輸送を開始したと発表した。

今回の取り組みを記念し、同日に横浜本牧駅で出発式を開催した。

出発式の様子
出発式の様子

2024年4月のトラックドライバーの時間外労働規制強化により、国内の中・長距離トラック輸送における人手不足が大きな課題となっており、そうした状況を受けて鉄道輸送へのモーダルシフトが注目されている。

しかし、国際海上輸送で広く利用される40ftコンテナは、長さが原因で、多くの貨物駅では取り回しが難しいほか、コンテナ留置スペースに限りがあることから、これまで一部の区間を除いて鉄道輸送が行われていなかった。そのため、40ftコンテナの港から内陸部への輸送は、トレーラーによる陸送か、鉄道輸送の場合、鉄道用コンテナに積み替える作業が必要となり、輸送効率の低下やコストが課題になっていたとしている。

その課題解決のため、日本通運と神奈川臨海鉄道は連携して対応を進め、日本貨物鉄道㈱(JR貨物)が2024年3月ダイヤ改正で新設した、横浜本牧駅―宇都宮貨物ターミナル駅間における海上コンテナ輸送ルートを活用する検討を本格化。その後、トライアル輸送を経て、今回、本牧―宇都宮間での40ftコンテナの鉄道輸送を開始することとなった。

日本通運は、日産自動車の調達物流において、長距離区間(※2)で鉄道輸送を積極的に活用してきた。今後、中距離区間(※3)においても40ftコンテナをはじめ各種コンテナでの鉄道輸送を拡大し、さらなる物流の効率化と環境負荷の軽減を目指すとしている。

●輸送概要
今回の取り組みは、物流業界が直面する「2024年問題」に対応するための一環として実施され、日産自動車栃木工場で生産されるEVクロスオーバー「日産アリア」の生産用自動車輸入部品を積載した国際海上コンテナ/40ftコンテナを鉄道輸送専用コンテナに積み替えることなくダイレクトで鉄道輸送を行う。物流の効率化と共に、サプライチェーン上でのCO2排出量をさらに削減することを目的としている。

輸送品目:自動車輸入部品
鉄道輸送区間:横浜本牧駅―宇都宮貨物ターミナル駅(営業キロ143.2km)
数量:40ftコンテナ×2本/日(週5日を基本)
CO2排出削減量:140t/年(日本通運による試算)

●今後の展開
実施初年度のオペレーション上の課題や天災等による鉄道輸送への影響を踏まえながら、次年度以降は輸送コンテナ本数の拡大を目指す。引き続き、両社は物流の効率化や環境負荷の低減を目的とした取り組みを積極的に進め、持続可能な社会の実現を目指すとしている。

●出発式概要
日時:2024年10月16日(水)9時00分~10時30分
会場:神奈川臨海鉄道 横浜本牧駅構内(神奈川県横浜市中区)
主催:日本通運、神奈川臨海鉄道

※1:宇都宮貨物ターミナル駅:JR貨物の貨物駅(栃木県河内郡上三川町)

※2:長距離輸送区間:鉄道輸送への転換が進むとされる500km以上の輸送区間

※3:中距離輸送区間:鉄道輸送への転換が難しいとされる500km未満の輸送区間