三菱ふそうトラック・バス㈱(三菱ふそう)は8月9日、同8月よりバッテリ交換式の電気自動車(EV)トラックの公道実証を開始すると発表した。

実証に用いるバッテリ交換式「eCanter」の車両とAmple社の
バッテリ全自動交換ステーション(左側がヤマト運輸が用いる車両)

今回の実証では、米国Ample社の交換モジュールを装着した三菱ふそうのバッテリ交換式の電気小型トラック「eCanter」を使用する。京都市内に設置したAmple社のバッテリ全自動交換ステーションにおいて、ENEOSホールディングス㈱と連携して「eCanter」のバッテリの交換を行う。ヤマト運輸㈱がバッテリ交換式の「eCanter」を京都市内の集配業務に使用する。

バッテリ残量が少なくなった「eCanter」がバッテリ全自動交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリを交換する仕組み。バッテリの交換時間は5分を目標にしている。三菱ふそうは2023年のジャパンモビリティショーで同技術を展示しており、次の段階として公道での実証を行う。三菱ふそうおよび参加各社は、実用における利点や課題の洗い出し、技術の拡張性の確認を行い、日本における将来的な実用化の検討を進める。

三菱ふそうが2023年3月に発売した「eCanter」新型モデルは、3つのバッテリサイズで航続距離を選べるほか、国内モデルでは28の型式によって多様な架装・用途に対応できるのが特徴で、排出ガスゼロや低振動、快適性、静粛性といったEVトラックならではの価値を顧客に提供している。

一方、バッテリ交換式EVトラックは、航続距離にとらわれない運用やさらなる用途拡大、車両非稼働時間の大幅な短縮等につながり、EVトラック利用の可能性を広げることができるほか、交換式バッテリは技術の進化に合わせて最新のものを導入すれば、ユーザーは常に最先端のバッテリを利用することができる。

なお、今回の実証では、ダイムラー・トラック・ファイナンシャルサービス・アジア㈱が、「eCanter」専用リース商品「FUSOグリーンリース」を用いて、バッテリ交換式EVトラックのビジネスモデルの検討も行う。「FUSOグリーンリース」は車両整備や保険、パートナー間の契約関係、車両登録、月々の支払い形態といった、包括的な金融ソリューションを提供する。

併せて、バッテリ全自動交換ステーションが新たなエネルギー供給インフラとして普及していくための運用ノウハウ蓄積と将来的な商業化に向けた課題の洗い出しを行う。Ampleのバッテリ全自動交換ステーションは、EVトラックのみならず、乗用車と共用できる点が大きな強み。Ampleのバッテリ全自動交換ステーションをEV向けバッテリ交換のインフラとして定着させることができれば、脱炭素社会の構築に向けた社会全体の課題であるゼロエミッション車両の普及において、大きな原動力となると見込まれる。