ヤマトホールディングス㈱(ヤマトHD)と日本航空㈱(JAL)とスプリング・ジャパン㈱は3社で連携し、4月11日からヤマトグループが導入するエアバスA321-200P2F型の貨物専用機(フレイター)の運航を開始した。

同フレイターは、JALグループのスプリング・ジャパンが運航を担うほか、同日に就航を記念して、成田空港、新千歳空港、北九州空港、那覇空港で就航記念セレモニーを開催した。

就航記念セレモニーでのウォーター・サルートの様子(成田空港)

国内EC市場の成長により宅配便取扱個数が年々増加すると共に、輸送する貨物は小口・軽量化している。一方、労働力人口の減少やトラックドライバーの高齢化、「物流の2024年問題」の影響等により、トラックを中心とした輸送力の低下が懸念されているほか、全国各地で発生する大雨や大雪、地震等による物流網寸断リスクへの対応を強化していく必要があったとしている。

そのような物流を取り巻く環境の変化に対応するため、ヤマトグループとJALグループは連携し、新たな輸送手段としてフレイターを活用することで、安定的な輸送力の確保やサービス品質の維持・向上を図り、持続的かつ強靭な物流ネットワークの構築を目指すとしている。

両社が培ってきた経営資源を相互活用し、物流における社会課題の解決や、物流ネットワークの拡大・スピード輸送等の付加価値を提供することで、地方創生への貢献と、顧客に選ばれ続けられるよう企業価値の向上を図っていくとしている。

●就航記念セレモニーの様子

<成田空港>
左から、日本航空 代表取締役会長 赤坂祐二氏、ヤマトHD 代表取締役社長 長尾裕氏、スプリング・ジャパン 代表取締役社長 浅見達朗氏
<新千歳空港>
左から、日本航空 執行役員 小山雄氏、ヤマトHD 代表取締役副社長 栗栖利蔵氏、スプリング・ジャパン 執行役員 大佐古将彦氏
<北九州空港>
下段左から、北九州市議会 北九州空港機能強化・利用促進特別委員会 委員長 日野雄二氏、福岡県議会 空港・交通インフラ調査特別委員会 委員長 井上博行氏、福岡県知事 服部誠太郎氏、日本航空 代表取締役副社長 斎藤祐二氏、ヤマトHD 代表取締役副社長 栗栖利蔵氏、スプリング・ジャパン 取締役 上谷宏氏、北九州市長 武内和久氏、苅田町長 遠田孝一氏、苅田町議会 議長 沖永義樹氏
上段左から、北九州エアターミナル㈱ 代表取締役社長 鮎川典明氏、財務省門司税関 税関長 末永広氏、国土交通省 大阪航空局北九州空港事務所 空港長 平田良二氏、国土交通省 九州地方整備局北九州港湾・空港整備事務所 所長 北原政宏氏
<那覇空港>
左から、日本航空 執行役員 木藤祐一郎氏、ヤマトHD 代表取締役社長 長尾裕氏、スプリング・ジャパン 代表取締役社長 浅見達朗氏

●各社代表者メッセージ
◎ヤマトホールディングス㈱ 代表取締役社長 長尾裕氏
2019年からフレイター導入の検討を開始し、ついに初就航を迎えることができました。日本航空様、スプリング・ジャパン様をはじめ、当プロジェクトに参画いただいた皆様にあらためて感謝を申し上げます。まさに「物流の2024年問題」がスタートしたタイミングでの就航となりました。これまで長距離輸送を担ってきたトラック、鉄道、フェリー、旅客機床下貨物スペースに、新たな輸送モードとしてフレイターが加わります。持続可能な物流を提供していくと共に、フレイターの強みを生かしたスピード輸送等、様々なお客様にご利用いただける輸送スキームを構築し、地域産業の発展に貢献していきたいと考えています。初めての空へのチャレンジとなります。安全運航を第一に、JALグループ様と共に、「新たな物流」「新たな価値」を創造してまいります。

◎日本航空㈱ 代表取締役会長 赤坂祐二氏
当社がこのプロジェクトについてヤマト様から相談を受けたのはコロナ禍の2020年で、旅客需要が完全に蒸発するという非常に厳しい環境にあった時期でした。そんな中でもヤマト様が2024年問題のような社会課題に対し、前向きに真正面から取り組もうと努力されている姿勢に私達も非常に感銘を受けました。ヤマト様と一緒に取り組み、多くのことを学びながら本日の初便就航を迎え、非常に感慨深いものがございます。JALグループは、これからもヤマト様と力を合わせながら安全安心な社会、サステナブルな未来を作ってまいります。

◎スプリング・ジャパン㈱ 代表取締役社長 浅見達朗氏
当社はJALグループのLCCで、成田空港を拠点に中国各地を結ぶ国際線と日本国内線のネットワークを展開しています。このたび、当社が担うのは、日本のLCCでは初となる貨物専用機の定期便運航です。10周年という節目を迎える私どもにとって大きな挑戦ですが、社会にとっても大変意義のある取り組みになると確信しています。これまで培ってきた安全運航のノウハウをフルに発揮して、貨物専用機を高い定時性で運航し、日本各地にいらっしゃるお客様へ誠意を込めて荷物をお届けすることで、笑顔になっていただける貨物事業となるよう精一杯努めてまいります。