国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と京セラコミュニケーションシステム㈱(KCCS)は10月25日、NEDOの「革新的ロボット研究開発基盤構築事業/自動配送ロボットによる配送サービスの実現」で、KCCSが北海道石狩市緑苑台東地区の一部エリアの車道で、1人のオペレーターが複数台の自動配送ロボットを遠隔監視・操作しながら配送サービスを行う実証実験を開始したと発表した。

同実証実験は、車道を同時走行する複数台の中速・中型自動配送ロボットを、1人のオペレーターが遠隔監視・操作するものとして国内初の事例。1人が複数台の自動配送ロボットを運用することで、コスト低減や運用効率の改善が期待される。

今後、NEDOとKCCSは同事業で、同時に複数台の自動配送ロボットを監視できるシステムの機能拡張や、自律走行比率の向上、安心・安全を示すエビデンスの収集を行い、自動配送ロボットの社会実装を目指すとしている。

複数台遠隔監視の様子
車道を走行する自動配送ロボット(上下)

●実証実験概要
実施期間:2023年10月29日(予定)までの期間
実証場所:北海道石狩市緑苑台東地区の一部エリア(住宅街)を走行する。なお、車道実証にあたっては、国土交通省北海道運輸局から保安基準緩和認定を受け、北海道警察から道路使用許可を取得し、石狩市の協力を得て実施している。

走行予定エリア

実証内容:車道を同時走行する複数台の中速・中型自動配送ロボット(※1)を、1人のオペレーターが遠隔監視・操作しながら配送サービスを行う国内初(※2)の実証実験を行う。地域の配送事業者および小売事業者と共同で自動配送ロボットを走行させ、配送サービスを実施するもので、同事業で新たに開発した以下の項目について実用性の確認を行う。

①複数台の運用が可能な遠隔型自動運転システムの開発
KCCSは、1人のオペレーターが複数台の自動配送ロボットを運用するにあたり、ロボットの自律走行の開始/停止を行う専用のコントローラーや全体を監視できる表示システムを開発した。KCCSの遠隔監視室は、ロボットに搭載しているカメラからの映像や位置情報、センサ情報等を一目で把握でき、オペレーターは表示システムを利用して走行中の全ロボットの状況を確認できる。

②自律走行比率の向上
自動配送ロボットがオペレーターの遠隔操作無しで継続的な自律走行を行うため、交差点の横断や駐車車両の回避を自動で行う技術を開発した。

③安全な運行管理体制の構築
走行するルートやスケジュールを状況に応じて変更できる運行管理システムを開発した。地図上で複数台の自動配送ロボットの位置を表示しながらリアルタイムに監視・運用できる。また、運送事業者が、自動運転車を活用する検討会(※3)の内容を参考に、有資格者が運行管理・指示を行う運用体制を構築した。

●今後の予定
NEDOとKCCSは同事業で、同時に複数台の自動配送ロボットを監視できるシステムの機能拡張や、自律走行比率の向上、安心・安全を示すエビデンスの収集を行い、自動配送ロボットの社会実装を目指すとしている。

※1:同実証実験では、ミニカー(長さ2.5m以下×幅1.3m以下×高さ2.0m以下)に準じた大きさで、最高速度15km/hのロボットを使用する。
※2:車道を同時走行する複数台の中速・中型自動配送ロボットを、1人のオペレーターが遠隔監視・操作する実証実験として国内初となる。(2023年10月25日時点 KCCS調査)
※3;「自動運転車を用いた自動車運送事業における輸送の安全確保等に関する検討会」報告書 令和5年1月 (国土交通省)https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001582761.pdf