㈱Hacobuは8月17日、トラック輸送における取引環境・労働時間改善秋田県協議会の「首都圏向け青果物の物流効率化 実証実験」に、コンサルティングパートナーとして3年連続参画すると発表した。

今回の取り組みは、2021年度、2022年度の実証実験に引き続き3回目の実証実験となり、その集大成として各JA集積所からハブ拠点へ集約後に首都圏市場に輸送する「集荷・幹線便」、各JA集積所から立寄りなく直接首都圏市場に輸送する「直送便」の2つの輸送手段を組み合わせ、積載率向上と拘束時間削減を両立できる輸送体制の確立を目指すとしている。

秋田県トラック協会や国土交通省、運送事業者、各JAをはじめとする多様なステークホルダーと共に、サプライチェーン全体の最適化を追求し、2024年度での社会実装・通年化を目指すとしている。

●「首都圏向け青果物の物流効率化 実証実験」概要
日程:2023年8月20日(日)~26日(土)
実証実験対象:秋田県~首都圏(各市場)間のトラック輸送
実証内容:
(1)直送/集荷/幹線便による輸送最適化
(2)出荷情報連携の早期化・精度向上
(3)パレット運用/パレタイズ作業の最適化
(4)首都圏市場への取り組み

●参加団体
・主な協力荷主・運送事業者:全国農業協同組合連合会 秋田県本部、全農物流㈱ 秋田支店、羽後運輸㈱、川連運送㈱
・トラック輸送における取引環境・労働時間改善秋田県協議会 事務局:東北運輸局 秋田運輸支局、秋田労働局 労働基準部監督課、(公社)秋田県トラック協会
・アドバイザリーボード:国土交通省 自動車局 貨物課、国土交通省 東北運輸局 自動車交通部 貨物課
・実証実験オブザーバー:秋田県産業労働部 商業貿易課
・実証実験コンサルタント:㈱Hacobu

●本実証実験の背景
2024年4月、法令上ドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に規制され、物流への影響が懸念される「2024年問題」が7か月後に迫っている。今後も人手不足が予測され、社会に深刻な影響を及ぼす恐れがある。

特に地方から首都圏への長距離輸送においてはトラックドライバーの長時間労働の是正が喫緊課題となっており、秋田県における首都圏向けの青果物輸送もその1つ。秋田県内の各JA集出荷拠点間の距離が長く、集荷に時間がかかる上に、納品先の首都圏卸売市場までの距離が約600㎞と長く、荷役作業時間・待機時間を加えると1日の拘束時間が長時間に及んでいた。

秋田県トラック協会は近い将来、長距離輸送に係る物流網の維持や首都圏向けの輸送が困難になる可能性に対する問題意識のもと、2019年11月、秋田県に「秋田の未来の物流を考える協議会(現:秋田未来物流協議会)」を立ち上げ、早期に問題解決に向けた議論および実証実験を進めてきたとしている。

●2021年、2022年に実施した実証実験の内容・成果
ドライバーの負担を軽減し、秋田から首都圏向け青果物輸送を持続可能な状態にすることを目的に、集荷輸送と幹線輸送を分離し、効率的な集荷ルートの見直しやハブ拠点(中継点)の設置等により、トラックドライバーの長時間労働改善と青果物輸送全体の効率化を検証する実証実験を実施。その結果、長距離トラックの労働時間は約25%、トラックの総活動時間は約22%減少、ドライバー1人当たりが創出する付加価値が約30%向上する成果を確認した(※1)。

昨年度の実証実験の様子
昨年度の実証実験の様子

●2023年度実証実験概要
2023年度は、2022年度の実証実験時の試算結果実現に向けて、「集荷・幹線便」と「直送便」の台数最適化(現状からの削減)に取り組むほか、出荷前日午前中に各JA集積所から報告を受けた出荷数量情報を物量データに変換し、最適な配車計画を同日午後に作成し配車調整する。これにより毎日の出荷内容(物量・仕向先)に応じた最適な輸送ルートや台数を導き出し、輸送効率最大化積載率向上と拘束時間削減を両立できる輸送体制の確立を目指すとしている。

2023年度実証実験概要

各JA集積所での出荷数量をはじめ、集荷ルート、ハブ拠点への入出庫時間、ハブ拠点での作業時間、ハブ拠点から首都圏市場に輸送する際の待機時間・荷役作業卸時間、輸送時間等、取得したデータを分析しサプライチェーン全体の最適化に取り組むとしている。

今回の実証実験には、昨年に引き続きトラックドライバーの労働環境改善や生産性向上に向けた検討のため、国土交通省がアドバイザリーボードとして参画する。