(一社)日本物流団体連合会は6月6日、選考委員会(委員長:流通経済大学 野尻俊明理事長)の審議を経て、第24回物流環境大賞の受賞者を決定した。大賞は㈱フェリーさんふらわあによる「日本初のLNG燃料フェリー『さんふらわあ くれない』大阪別府航路へ就航」が受賞した。

また、各賞として、低炭素物流推進賞(1件)、サステナブル活動賞(2件)、先進技術賞(2件)、日本物流記者会賞(1件)、特別賞(23件)を選定した。なお、表彰式は6月27日14時30分より第一ホテル東京にて開催する予定。

●第24回表彰受賞者の概要

◎物流環境大賞
受賞者:㈱フェリーさんふらわあ
案件名:日本初の LNG 燃料フェリー「さんふらわあ くれない」大阪別府航路へ就航
日本初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」(所有:㈱商船三井)を、大阪/別府航路で今年1月に運航開始した。「さんふらわあ くれない」は、LNGと重油それぞれを燃料として使用できる高性能Dual Fuelエンジンを国内フェリーで初搭載している。LNG燃料を使用することで硫黄酸化物(SOx)排出量はほぼ100%、窒素酸化物(NOx)排出量は約85%、CO2排出量は約26%削減され、環境負荷低減を積極的に行っている。

◎低炭素物流推進賞
受賞者:北海道ロジサービス㈱
案件名:持続可能な「北海道のライフライン」物流ネットワークの構築
生活協同組合コープさっぽろ・㈱サッポロドラッグストアーの北海道全域の店舗の輸配送において、集約配送・他企業との共同配送、配車統合と拠点の共同化を順次行い、車両台数・CO2排出量・ドライバー労務時間の削減を行った。取り組みにあたり、荷主との集配時間、納品条件の変更調整は説明会の実施、各店舗・各現場へ足を運ぶ等して1件ずつ承認をもらい、協力運送会社との運行内容・運賃交渉といった委託内容の変更調整は、該当約20社と複数回協議を行った。その結果、2019年~2022年で1日当たり29台のトラックと約10%のCO2排出量を、トラックドライバーの拘束時間は年間5万4,000時間を削減した。

◎サステナブル活動賞
受賞者:AGCロジスティクス㈱、諸星運輸㈱、名鉄運輸㈱
案件名:RFIDを活用したパレット回収物流システムの構築
専用パレットにRFIDを貼付し、そのタグを活用して回収するスキームを確立した。回収率を平均80%に上げ、パレットの廃棄の削減や新規パレット生産におけるCO2排出量の抑制に貢献した。また、洗浄拠点に都度返却していたパレットを、各拠点にいったん集約後、洗浄拠点にロット単位で返却することにより輸送CO2排出量を削減した。回収にあたっては専用のシステムを導入せず、RFIDのクラウド型管理システムを活用して、パレット回収通知や輸送業者への回収依頼を自動で行うExcel(VBA)のプログラムを作成。カスタマイズや水平展開をしやすくなっている。

受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱、東芝ホクト電子㈱
案件名:工業用マグネトロンDFLアプローチによるサステナブル包装の取り組み
精密機器である工業用マグネトロンにおいて、従来の包装箱はプラスチックを緩衝材として使用していたため環境負荷、および容積・質量大に伴う作業負荷が主な問題点であった。そこで両社で協働して、競合他社ベンチマーク結果等をふまえ、DFL(Design for Logistics)の考え方にて、製品仕様を製品企画・設計段階まで遡って見直しを図ることで、包装箱のオール段ボール化・コンパクト化・軽量化を実現。結果、緩衝材プラスチック 100%減(脱プラ)、CO2排出量25%減、作業工数30%減を達成して、環境負荷低減・持続可能性へと貢献した。

◎先進技術賞
受賞者:㈱クリンペット・ジャパン
案件名:圧縮梱包による物流の効率化を図る
食品用真空パックを応用し、空気を抜く圧縮梱包(特許取得済)により、ペーパータオル製品の質感を損なわず約50%の圧縮を実現、輸送容積を小さくすることでCO2排出量を40%削減した。パレット積みを可能にするために圧縮後、外観が綺麗な立方体の形状になるよう工夫した。包装体の真空状態を少なくとも数分間維持できる製品(ペーパータオル紙類、布類、おむつ等)であれば圧縮可能である。今後、上海の企業とも取り組みを拡大予定で、国内外で環境負荷低減に貢献していく。

受賞者:三井倉庫ホールディングス㈱
案件名:グローバルサプライチェーンにおけるCO2排出量可視化サービスの開発
物流CO2排出量算定システムとして『MS CO2 Navigator』(簡易算定)、『MS CO2 Analyzer』(一括算定)の2つを開発。物流データ入力によりCO2排出量の可視化、削減のための施策立案をできるサービスの提供を開始した。サービスのコンセプトは物流に「脱炭素・低炭素」という評価基準を新たに設けることで、国際輸送も含めたサプライチェーン全体のCO2排出量可視化・削減提案に寄与する。簡易算定はウェブサイトから簡単に算定ができ、誰でも利用が可能。一括算定は三井倉庫グループと所定の契約等を結び、物流データを提供することで利用が可能となる。すでに300万件以上の輸送データの算定実績があり、今後の脱炭素物流における改善効果の精緻な可視化が期待される。

◎日本物流記者会賞
受賞者:霧島酒造㈱、㈱ニチレイ・ロジスティクス九州
案件名:焼酎製造副産物のリサイクル活動における共同スキームの構築を通じたカーボンニュートラルへの貢献
ニチレイ・ロジスティクス九州の鹿児島曽於物流センターが霧島酒造より受託している、焼酎原料の流通加工業務において、発生する焼酎製造副産物(芋くず)を行政の認可のもと越境させ、霧島酒造が保有するリサイクルプラントでバイオガスを生成。生成されたバイオガスは、焼酎製造工程のボイラー燃料となるほか、電力へと変換(サツマイモ発電)し、工場や地域の電力への活用を実現した。

◎特別賞(50音順)
受賞者:㈱キーテクノロジー、日本梱包運輸倉庫㈱
案件名:新規輸送における鉄道を利用した長距離ラウンド輸送

受賞者:山九㈱、THK㈱、東京九州フェリー㈱、マリネックス㈱、㈱サンキュウ・トランスポート・九州
案件名:お客様との共同改善による精密機器部品輸送のモーダルシフト化(省力化・CO2 削減)

受賞者:山九㈱ 三井・ダウ ポリケミカル㈱
案件名:岩国・大竹→市原間の海上モーダルシフト

受賞者:昭和産業㈱、鈴与㈱、鈴与カーゴネット㈱
案件名:トレーラーを活用したフェリー輸送によるモーダルシフト及び中継輸送の導入によるCO2排出量の削減と法令を遵守した持続可能な運行の実現

受賞者:㈱住友倉庫
案件名:使用済みストレッチフィルムをリサイクル材へ再資源化する取り組み

受賞者:センコー㈱、旭化成ホームズ㈱、フジテック㈱
案件名:ドリー式ダブル連結トラック導入による長距離輸送の脱炭素化と省人化の推進

受賞者:東京九州フェリー㈱、佐川急便㈱、日本郵便㈱
案件名:佐川急便・日本郵便によるフェリーを活用した関東発九州向け幹線共同輸送

受賞者:東京納品代行㈱
案件名:EVトラック導入による排出ガスの削減

受賞者:浪速運送㈱、エコビズ㈱、㈱アーバンリサーチ
案件名:エコビズボックス(物流用通い箱)を活用した脱ダンボール配送の実現

受賞者:日本製紙㈱、DOWAエコシステム㈱、日本貨物鉄道㈱
案件名:日本製紙、DOWA、JR貨物 秋田県-首都圏エリア間のラウンド輸送によるモーダルシフト化

受賞者:日本通運㈱
案件名:低炭素な輸送モードへの転換に活用できる輸送商品の開発

受賞者:日本通運㈱
案件名:お客様のパレットにそのまま装着、「プロテクトBOXライト」の開発によるパレット一貫輸送

受賞者:日本通運㈱、三和酒類㈱
案件名:ダブルモーダルシフトによるCO2排出量および運転時間削減の実現

受賞者:日本GLP㈱
案件名:既存物流施設における環境負荷低減に資する「再生」への取り組みについて

受賞者:三井倉庫㈱、花王㈱、いすゞロジスティクス㈱
案件名:インランドコンテナデポ活用による CO2・ドライバー負担の削減

受賞者:ミネベア アクセスソリューションズ㈱、久留米運送㈱、川崎近海汽船㈱
案件名:フルトレーラーの海上輸送でCO2削減(宮崎⇔埼玉 自動車部品/返送パレット 幹線輸送)

受賞者:メディセオ㈱、日本石油輸送㈱、日本貨物鉄道㈱、日本フレートライナー㈱
案件名:医薬品物流における定温輸送モーダルシフトの拡大

受賞者:ユニリーバ・ジャパン㈱、ライオン㈱、㈱PALTAC、鈴与㈱、鈴与カーゴネット㈱
案件名:発荷主・着荷主・物流事業者の三者協力による、低床型のトレーラーを利用した中継輸送の実現

受賞者:ロジスティード㈱、ロジスティードソリューションズ㈱
案件名:EcoLogiPortal(サプライチェーン輸送領域におけるCO2排出量可視化サービス)

受賞者:㈱ロジスティクス・ネットワーク
案件名:CO2排出量削減による環境負荷逓減を目的としたEVトラックの導入

受賞者:AGCロジスティクス㈱、大王海運㈱、大川運輸㈱
案件名:特殊シャーシの会社間融通によるRORO船利用率の向上

受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱、㈱東芝、積水化成品工業㈱
案件名:リチウムイオン電池 100%リサイクル緩衝材採用と収納効率最大化取り組み

受賞者:SBS東芝ロジスティクス㈱ プラットフォーム事業部
案件名:複数拠点からの遠距離輸送プロセスの改善による輸送CO2の削減