コロワイドグループのマーチャンダイジングを統括する㈱コロワイドMDとヤマト運輸㈱は3月28日、外食産業を取り巻く事業環境の変化に対応した持続可能なサプライチェーンの構築に向け、リードロジスティクスパートナー(LLP、※1)協定を締結した。

両社は、「牛角」「かっぱ寿司」「大戸屋ごはん処」等、複数ブランドを展開するコロワイドグループのサプライチェーン全体の可視化・最適化を進めるほか、ヤマト運輸の輸配送ネットワークを活用することで、効率的で循環型社会の形成に資する持続可能なサプライチェーン(SC)の構築を目指す。

コロワイドMDは、同協定に基づく第1弾の取り組みとして、2023年夏からヤマト運輸が強みを持つ多頻度小口配送の物流スキームを活用し、同社が注力する「給食事業」の拡大に向けた運用を開始する。

※1:法人顧客の物流オペレーションとその管理だけでなく、顧客の経営に資するサプライチェーン改革やビジネスプロセス改革等を支援するパートナー

コロワイドグループは、外食産業を取り巻く事業環境の変化に対応、さらなる企業価値の向上を図るため、グループの主力である「外食事業」に加え、生産年齢人口減少による市場縮小が懸念される国内市場において、引き続き堅調な需要が見込める「高齢者給食事業」の拡大を見据えた事業ポートフォリオの変革に取り組んでいる。また、グループ共通のサステナビリティ基本方針に基づき、気候変動の緩和、循環型社会の形成等を念頭にサプライチェーン全体におけるCO2排出量の削減、持続性のある原材料の調達、食品ロス低減等の各種取り組みも強化しており、本協定締結にはそうした背景がある。

ヤマト運輸は、物流を通じて顧客企業の経営課題を解決し、持続的な成長に貢献するリードロジスティクスパートナーを目指し、法人企業のサプライチェーンの上流から下流まで「End to End」での総合的な価値提供を行っているほか、2050年温室効果ガス自社排出量実質ゼロおよび2030年温室効果ガス排出量48%削減(2020年度比)、企業のScope3領域における温室効果ガス排出量削減に向け、EVの導入や太陽光パネル設置等を積極的に進めている。

コロワイドMDでは、これまで店舗向けなど「外食事業」を中心にサプライチェーンを構築してきたが、今後の事業拡大にあたっては多頻度小口配送等の多様な輸配送ニーズへの対応が課題の1つだった。今回、ヤマト運輸との本協定締結を機に、まずは「給食事業」における原材料調達、製造、物流から販売へといたるサプライチェーン全体の再構築に取り組む。

●両社が目指すサプライチェーンの全体像

◎取り組み概要
(1)給食事業の拡大
「給食事業」における物流ネットワークを再構築し、商材の保管・出荷拠点をヤマト運輸のターミナル一体型施設に集約することで、顧客の輸配送ニーズに合わせた効率的でスピーディーな出荷を実現。多頻度小口の全国配送にも対応し、配送までのリードタイムも短縮する。

(2)外食事業におけるチャレンジ店舗、郊外店舗への物流効率化
「外食事業」におけるチャレンジ店舗(※2)や郊外店舗への納品は、コロワイドグループの主要ブランドチェーンや大都市店舗と比べて、商品の種類、物流拠点からの距離、注文量の違いにより、十分な効率化が実現されていなかったとしている。今回、多頻度小口配送に対応したヤマト運輸の輸配送ネットワークを活用し、効率的で安定した物流スキームを構築する。

※2:今後の事業拡大や市場マーケティングを目的とした小規模展開店舗

(3)個人向け外販事業の展開
株主優待品や、「ステーキ宮」「大戸屋ごはん処」の直販ECサイト等の「個人向け外販事業」において、ヤマト運輸のターミナル一体型施設等の輸配送ネットワークの活用を検討・推進し、出荷量や商品ラインナップのさらなる拡大を目指す。

「個人向け外販事業」

(4)サプライチェーン全体の可視化・最適化による環境負荷の低減
これまで事業ごとに分かれ、全体像が見えづらかったサプライチェーン全体を可視化・最適化することで、ムリ・ムラ・ムダをなくし、環境負荷のより少ない持続可能なサプライチェーンを実現する。

●今後の展開
両社は相互の知見、ノウハウを活かし、調達・製造領域から店舗への納品、今後さらに拡大が見込まれる「海外事業」等、「給食事業」だけに留まらない幅広い事業領域への展開も検討している。併せて、温室効果ガス排出量については、自社からの直接排出(Scope1)、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)だけでなく、自社の活動に関連する他社の排出も含めたサプライチェーン全体(Scope3)の削減に向けて協力して取り組んでいくとしている。