日本ミシュランタイヤ㈱とヤマト運輸㈱は9月14日、ミシュランの日本国内における円滑かつ強固な物流体制の再構築を目的にリードロジスティクスパートナー契約を締結した。

両社は、ミシュランのサプライチェーン全体を変革し、その物流と在庫を最適化することにより、将来的な総ロジスティクスコストの削減や出荷リードタイムの短縮を実現し、顧客のさらなる満足度向上を目指す。2022年9月から一部運用を開始し、2023年1月10日から本格始動を予定している、としている。

今回の物流改革共同プロジェクトは、両社が地球や人の持続可能性に対するビジョンを相互に共有できるパートナーと判断し、スタート。両社は物流の標準化・自動化・最適化を促進することで顧客への利便性を高めながら、温室効果ガスを可視化・削減することで環境負荷のより少ない持続可能な物流を実現していく、としている。

今回、ミシュランの物流体制をヤマト運輸が一元管理することにより、以下の点が可能になる、としている。

(1)現在約20拠点ある倉庫を5拠点に集約。各拠点の在庫の可視化・最適化により、東西の中央倉庫から地域倉庫への在庫転送量の極小化を実現するほか、ヤマト運輸の法人向けミドルマイルネットワーク等を活用し、まずは従来と同様の配送リードタイムを実現する。また、Scope3の温室効果ガス排出量を削減する。

(2)ヤマト運輸の輸配送管理システムを活用したオーダートラッキングにより、顧客の注文ごとの配送状況をトレースすることにより、ミシュランコールセンターでの迅速な案内を可能にする。

(3)ヤマト運輸のデジタル送り状を採用することにより、業務効率化とペーパーレス化を促進。複写式の伝票を廃止し、汎用的なA4用紙を使用することで省資源化を進める。

(4)ヤマト運輸の倉庫管理システムで、すべての在庫タイヤの製造年度を1本単位で管理することで、FEFO(使用期限が近い製品から先に出荷)を実現。期限切れによる処分を極小化することで環境問題へ対応する。

現在約20拠点ある日本ミシュランタイヤの倉庫を5拠点に集約する。

また、両社は今後、RFIDを活用したDX化も促進していくとしている。製造過程でタイヤに付帯するICタグを倉庫運営に活用し、タイヤ1本単位の年度管理に加え、生産国の識別等を容易にし、顧客ニーズに的確に応えるほか、荷受け・ピッキング・出荷作業・棚卸等の倉庫内作業を省人化、生産性の向上を目指す。将来的には、ヤマト運輸の輸配送管理システムと、ミシュランのシステムを連携させ、注文したタイヤの配送状況を顧客が確認できる仕組みの導入も検討していくとしている。

日本ミシュランタイヤ 代表取締役社長 須藤元氏は次のように述べている。
「今回のヤマト運輸とのパートナーシップは、海外の生産工場から販売店様までのサプライチェーン全体を最適化し、顧客満足度の向上を目指すミシュランの努力の一環です。日本に到着するコンテナ船の運航状況が混乱を極める中、状況を的確に把握しお客様に製品をお届けすることが、私共メーカーの責務と考えています。また、『すべてを持続可能に』の企業理念のもと、ヤマト運輸と物流におけるカーボンニュートラルをともに実現するほか、現在約50%のE-オーダー比率を2025年には70%まで引き上げて環境負荷の低減および社内の業務効率化を図っていきます。日本でも世界でも新たな取り組みをより一層進めるミシュランに、これからもご期待ください。」

ヤマト運輸 専務執行役員(法人営業・グローバル戦略 統括)恵谷洋氏は次のように述べている。
「今回、ミシュランのリードロジスティクスパートナーとして、サプライチェーン変革に向けた伴走をさせていただき、当社の拠点・輸配送ネットワーク等を最大限活用することで、サプライチェーン上の物流と在庫の最適化を図ってまいります。本取り組みを通して、販売店様や自動車・建機メーカー様など法人のお客様、さらに個人のお客様に対する価値提供を高め、ミシュランが目指す真のカスタマー・セントリシティの実現に向けて尽力いたします。また、2050年カーボンニュートラル実現を目指す両社の協調・協力により、物流によるサステナブルな社会づくりにも貢献してまいります。」