(公財)流通経済研究所と(株)セブン‐イレブン・ジャパン、(株)ファミリーマート、(株)ローソンは2月15日、内閣府戦略的イノベーションプログラム(SIP)第2期「スマート物流サービス」において、大手コンビニエンスストア3社で連携し、各社の物流センター、ならびに店舗へのチェーン横断的な共同物流の実証実験を実施すると発表した。

研究代表機関:(公財)流通経済研究所)

昨年度、東京都内の湾岸エリアで同3社の共同配送の実証実験を実施したが、今回は店舗密度が都市部よりも低い地方部で、
(1)コンビニの配送センター間の物流の共同化
(2)遠隔地店舗(買い物困難地域)の配送の共同化
の実証実験を行う。今回の取り組みは、物流を効率化することでの買い物困難者対策、フードマイレージの削減、運行トラック数の減少、温暖化効果ガス排出量の削減を目的としている。

●コンビニ共同店舗配送実証実験の概要
実験場所:北海道函館エリア
実験期間:2022年2月21日~1週間
実験内容
(1)配送センター間の物流の効率化
コンビニエンスストアの物流では、多くの在庫を持つ基幹センターと遠隔地にあるサテライトセンター間で商品の横持ち配送が行われている。今回は、自社のセンター間でしか実施されてこなかったセンター間の横持配送をチェーン横断的に実施する。北海道では、各社チェーンの基幹物流センターが札幌近郊にあり、函館にはサテライトセンターがある。今回の実証では、セブンイレブンとファミリーマート、セブンイレブンとローソンの2つの組み合わせで、札幌近郊の基幹センターから、函館のサテライトセンターまでの横持ち配送の共同化の実証を行う。これは取り組むコンビニチェーンの物流コストの削減のみならず、トラック配送の効率化による温室効果ガス排出量の削減にも貢献する取り組みとなる。

(2)遠隔地(過疎地域等)における店舗への商品配送の共同化
函館から南西エリア7店舗で共同配送を実施(セブンイレブン2店舗・ローソン5店舗)し、物流効率があまり良くない遠隔地(過疎地域等)における店舗への商品配送の共同化の効果測定(2020年度は都市沿岸部であったため)を行う。今回は函館エリアの遠隔地で、ローソンとセブンイレブンの組み合わせで共同化した店舗配送を実施する。昨年度よりもさらに社会実装に近い取り組みとなり、遠隔地・過疎地の店舗への配送効率の向上、買い物困難者対応等が期待されるとしている。

●今後について
今回の実証実験の結果も踏まえ、SDGsの視点も持ってコンビニエンスストア業界における新しい物流の形を、各社とサプライチェーンを構成するステークホルダー全体で検討するほか、より社会実装に近い形での実証であることから、コンビニ各社とも連携して、流通経済研究所は効果のある取り組みについては2022年10月~の社会実装を目指して推進していくとしている。