富士通(株)は4月8日、同社の「紙の暗号化技術の研究」が、文部科学省が主催する「令和4年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」で「科学技術賞(研究部門)」を受賞したと発表した。

同技術は現在、コンビニエンスストアにおける住民票や印鑑登録証明書等の各種証明書の発行に活用されている。

●受賞者および受賞技術
表彰:令和4年度科学技術分野文部科学大臣表彰「科学技術賞 (研究部門)」
※同部門は科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究、または発明を行った者を対象としている。
受賞者[氏名/所属※敬称略]
▽阿南泰三/富士通 ジャパン・グローバルゲートウェイ Japan ITS Division シニアマネージャー
▽倉木健介/富士通 研究本部 コンバージングテクノロジー研究所 ソーシャルデザインPJ 主任研究員
▽中潟昌平/富士通 Digital Solution事業本部 生体認証事業部
案件名:「紙の暗号化技術の研究」
技術概要:2005年4月に個人情報保護法が施行されて以降、電子文書に対する暗号化や改ざんを防止する技術等の開発が進み、対策が強化される一方、紙文書等の印刷物に適用可能な技術は存在せず、それらからの情報漏えいや証明書の改ざんによるなりすましが社会問題となり、対策が急がれている。同社は同研究において開発した、印刷物の個人情報を含む重要箇所を読み取りできないように特殊なスクランブル処理で暗号化し、それをスキャナで読み取り復号する技術と、さらに同技術を応用した改ざん防止技術を世界で初めて実用化した。これにより、コンビニエンスストアでも高い真正性が求められる住民票や印鑑登録証明書等の各種証明書の発行ができるようになり、現在、全国1,718市区町村のうち、半数以上にあたる917市区町村のコンビニ交付サービスに適用(2022年2月24日時点の導入実績)されている。