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流経大/損保ジャパン、物流の課題解決で包括協定締結

2021/11/17

流通経済大学および損害保険ジャパン(株)は11月10日、「総合物流施策大綱」における物流業界が直面する課題の解決に不可欠な「高度なロジスティクス」を志向し、新たなサービスの共同開発・提供のため、協業することを10月25日に合意したことを明らかにした。

なお、大学と損害保険会社が包括的に物流を起点にした気候変動対策など社会課題の解決に取り組む協業は国内初となる(損保ジャパン調べ)。

物流業界は、2021年6月13日に閣議決定された「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」で、人手不足に端を発した物流危機に直面し、従来のシステムでは立ちいかなくなっている点で抜本的な改革が要請されている。

今後、「総合物流施策大綱」にある「強くてしなやかな物流」の実現には、主に広域災害や感染症など有事における運用だけでなく、平時における事前準備も重要になる。運用においては、物流・ロジスティクスに関する専門的な知識やノウハウが求められ、事前準備にはリスクマネジメントの知見が求められ、平時・有事を合わせた災害対策を整備していくことが課題となる。

流経大は、日本で唯一といえるロジスティクスを柱とした「流通情報学部」を擁する大学で、これまで交通・物流の分野を中心に多くの専門人材を輩出している。また、ロジスティクス・イノベーション・プロジェクトを掲げ「地域活性化とロジスティクス」「地域生活を支えるロジスティクス」に関する研究等に取り組んでいる。

損保ジャパンは、全国自治体と2021年4月末時点で249件の協定を締結しており、地域における防災・減災に関する取り組み等を進めている。また、グループ会社のSOMPOリスクマネジメント(株)を通じ、BCP策定支援等の災害レジリエンス向上に向けた各種リスクマネジメントサービスを提供している。

●協定の主な内容
以下の項目において業務連携を行う。
(1)「社会システムとロジスティクスコンソーシアム」に関すること
(2)「地域活性化とロジスティクスの検討」に関すること
(3)「地域を支えるラストワンマイルの検討」に関すること
(4)「地域とロジスティクスコンソーシアム」に関すること
(5)「産学連携人材育成コンソーシアム」に関すること
(6)「高度なロジスティクス人材の育成」に関すること
(7)「地域を支える防災・減災」に関すること
(8)「ロジスティクスの基盤となる従事者の安心・安全・健康」に関すること
(9)「リスクマネジメントを起点とし、環境をはじめとしたカーボンニュートラル等の社会課題解決の検討」に関すること
(10)その他両者が協議し合意した事項

●取り組みの概要
同協定のもと、下記の取り組みを実施する。
(1)流経大の研究成果やロジスティクスにとどまらない知見と損保ジャパンのネットワークやRDP(リアルデータプラットフォーム)の活用、リスクマネジメントノウハウの融合により地域物流活性化に向けた高度なロジスティクスに関する研究・調査・実証試験
(2)防災・減災をテーマとした災害時の地域ロジスティクス拠点ネットワークや物資供給に関する災害レジリエンス向上を目指した研究・調査・実証試験
(3)ロジスティクス・イノベーションを実現する高度なロジスティクス人材の育成・交流

●今後について
流経大は、ロジスティクス・イノベーション推進センターが中心となって、ロジスティクスにおける災害対応を検討している。東日本大震災発生時には、政府、地方自治体による緊急支援物資が避難所等に供給されない、企業においても、商品が供給できない、サプライチェーンの途絶といった問題が発生。これらの問題に対応するべく、リダンダンシーのあるロジスティクスシステム構築に向けての、問題点、課題の抽出、今後の対応のあり方について検討している。特に災害時対応は、公共だけ、あるいは企業単独での対応が難しく、官民連携、企業間連携による取り組みについて検討している。

損保ジャパンは、防災・減災への取り組みの一環として、大規模災害時の緊急支援物資と災害時物流について、「平時と有事」一貫した自治体へのソリューションを提供する事業を研究している。包括連携協定の具体的な取り組みの1つとして、まずはこの研究に流経大の知見や研究成果を用い、さらに物流事業者との連携を模索し事業化モデルの構築を加速する。将来的には地方自治体と連携した地域災害復興力向上を現実的に支える事業として発展させ、地域社会への貢献を目指している。

今後、損保ジャパンが主催となり、流経大教授講師による自治体防災担当や物流事業者を対象とした「災害時物流に関するセミナー」(仮称)※の実施を株式会社日通総合研究所の協力を得て準備している。SOMPOグループは、「”安心・安全・健康のテーマパーク”により、あらゆる人が自分らしい人生を健康で豊かに楽しむことのできる社会を実現する」というパーパス実現に向けて、損保ジャパンは本提携を契機に、防災・減災に関する物流にとどまらず地域物流における社会課題にもスコープを広げ、各ステークホルダーとの連携を念頭に「ロジスティクスソリューションプロバイダー」としてさらなるステップアップを目指す。

※大規模災害に備えた取り組みについて、流経大の研究結果をふまえた大規模災害時のロジスティクス対応や具体的準備などをセミナー形式でご紹介する予定。

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