コラム「ちょっとマテフロ」

大塚倉庫のプラットフォーム戦略 その4(第470回)

2013-06-25

同社の物流プラットフォームの考え方は、「相性のいい商品」を選ぶところから始まっています。ベースカーゴの医薬・輸液と組み合わせることで、互いにメリットが生まれる商材……マテリアルフロー6月号特集からお送りします。

◆医薬製造基準のオペレーション
医薬品メーカーの物流子会社である大塚倉庫が、日常「当たり前」として行ってきたオペレーションは、一般物流企業から見ると驚くほど高いレベルにあるようです。

「医薬品は倉庫で商品が1つなくなっても、多くても、絶対に許されない。だから現場では毎日、在庫引き当てと入出荷が終わったら現品棚卸をしており、もし過不足があればトラックを呼び戻します」

「ところが以前、倉庫を外部委託した国内有数の某物流会社が1週間に1度しか棚卸をしていないことを知り、すぐに委託をやめました」と濱長氏はこともなげに言います。

[毎日・現品棚卸]を本当に実行している物流現場がどれだけあるか。手元に資料はないが、恐らく、間違いなく、少ない。それには大変な手間とコストがかかるからです。

◆ロット別管理
だが大塚倉庫にとって、それは当然のルーチン業務でした。食品、日用品もこのレベルで、ごく普通に高品質オペレーションが行われています。

「製造ロット別管理」も同様だ。医薬品は元々、伝票にロットが記載されており、物流現場でもそれを区別して管理することは当然ですが、一般業界は違う。食品物流で「日付管理」を実践すること、さらに「同日付でも、製造ロット別に管理」を行えるのなら、どんなメーカーやどんな卸であっても大きなベネフィットを与えることになるでしょう。

ロット別在庫管理が当然の大塚倉庫では、「納品日付の逆転」など「あり得ない話」。またそれがいつ、どの顧客に届けられたのかまで全て掌握する、トレーサビリティも確立しているます。大塚のプラットフォームに乗れば、この物流品質が得られるということです。

◆GMP対応、iPad mini
大塚倉庫がこれほど高度な管理能力を備えているのは、医薬品メーカーの製造品質管理基準・GMPに準拠し、これを社内文化としてきたからだ。現在では物流段階でも高度な温度・品質管理を求めるGDP基準の国内導入も検討されているが、同社も準備を進めているところ。

「実は医薬品物流は、輸配送中も温度管理のため低温車両が必要なこともあり、簡単にできる業務ではありません。しかし当社は医薬品メーカーの品質基準を当然としてきたので、誰にも納得頂ける医薬品物流サービスを提供できる」(同)

一層の業務高度化に向け、前号紹介した「iPad mini作戦」も順調に各地へ展開中だ。上のような日々の入出荷・棚卸・在庫管理にも活用しており、作業実績データのリアルタイム共有化、ペーパーレス化が進展している。

◆すでに動きも
「医薬品業界では特に、万一の災害にも対応でき、長期に安定して使える物流会社が求められます。だからその場だけコストが下げられる提案ではダメ。BCPの戦略的な構えがないと成り立たないと思います」と濱長氏は続ける。

「倉庫もネットワークもあるから何でもやります、と売り込むプロダクトアウトの発想でなく、市場に大塚でなくてはできないことを提案し、市場から選ばれる、マーケットインのビジネスへ。社内意識も合わせて変革していきたいと考えています」

2015年、三田の新物流センター完成を控え、大塚倉庫は医薬のBCP対応・共通プラットフォーム展開に本腰を入れています。既に業界から期待の声が集まってきており、このほど大手医薬品メーカーとの全国配送プロジェクトをスタートしました。

[優れたプラットフォームへの集約]は成熟経済社会の必然的な発展方向。誰がそれを担うのか、担うべきか。私たちは注視する必要があると思います。

(シリーズ終わり)