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モーダルシフト最優良事業者賞(大賞)はF-LINE

2020/10/30

(一社)日本物流団体連合会は10月16日に「モーダルシフト優良事業者選定委員会(委員長:東京女子大学教授 竹内健蔵氏)」を開催し、「モーダルシフト取組み優良事業者公表・表彰制度」の受賞者を決定した。

モーダルシフト最優良事業者賞(大賞)には、F-LINE(株)の南関東支店 マルチモーダルサービスセンターによる『食品の海上・鉄道輸送へのモーダルシフト』が選定された。3つの案件について、配送のリードタイムを伸ばすことで、トラックから海上・鉄道へのモーダルシフトを実現するほか、輸送モードの「複々線化」により、自然災害時も柔軟に対応できる体制構築が高く評価された。

物流連では、平成15年よりモーダルシフトに積極的に取り組む物流事業者を会報等で公表。平成26年度より優良事業者の表彰を中心とする制度へ移行しており、表彰制度としては今回が7回目の実施となる。各応募案件は「モーダルシフト優良事業者選定委員会」にて審議の上、17件13社が優良事業者として選定された。

表彰式は11月11日(水)14時30分より学士会館にて開催される。

●令和2年度モーダルシフト取り組み優良事業者 公表・表彰の概要

◎モーダルシフト最優良事業者賞(大賞)
F-LINE(株) 南関東支店 マルチモーダルサービスセンターは、食品の輸送に関して、トラック輸送から海上・鉄道輸送へのモーダルシフトを3案件実現。転換にあたっては、リードタイムが一番のネックとなっていたが、メーカー各社と交渉し、トラック輸送と比較してリードタイムが1日伸びることを了承してもらえるよう働きかけ、輸送効率化に成功。また、近年、自然災害が多発していることから、トラック・鉄道・船舶など、複数の輸送モードの併用(複々線化)の実現に取り組み、災害時にも柔軟に対応できる供給体制を構築しており、環境負荷低減や安定的な輸送の実現に対して範となる取り組みとなっている。

◎モーダルシフト取り組み優良事業者賞
(1)実行部門(4件)
フェリックス物流(株)、三八五通運(株)、日本石油輸送(株)、センコー(株)は幹線区間における貨物総輸送量のうち鉄道・海運の利用比率が40%超を達成した。

(2)改善部門(3件)
・住鉱物流(株)は拠点間の幹線区間における輸送量について、トラックの割合を減らし、大量輸送機関である海運の割合を一層向上させた。平成30年度における実績が全輸送量中83.8%であったのに対し、令和元年度においては85.0%を達成し、前年度と比較し、モーダルシフト輸送比率の改善を実現した。

・日本通運(株)は拠点間の幹線区間における輸送量について、トラックの割合を減らし、大量輸送機関である鉄道・海運の割合を一層向上させた。平成30年度における実績が全輸送量中51.9%であったのに対し、令和元年度においては53.3%を達成し、前年度と比較し、モーダルシフト輸送比率の改善を実現した。

・山九(株)は拠点間の幹線区間における輸送量について、トラックの割合を減らし、大量輸送機関である鉄道・海運の割合を一層向上させた。平成30年度における実績が47.1%であったのに対し、令和元年度においては51.9%を達成し、前年度と比較し、モーダルシフト輸送比率の改善を実現した。

(3)有効活用部門(7件)
・住鉱物流(株)は愛媛県から全国各地への電気ニッケル他の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実現した。トラックドライバー不足を背景に、これまで不定期であった輸送を定期化するため、出荷スケジュールを営業部門と調整し安定的な輸送を実現した。トラック台数についても年間370台分削減効果があり、CO2排出量を削減したほか、トラックドライバーの負担を軽減した。

・日本通運(株)は広島県から千葉県への鉄鋼製品の輸送について、トレーラー輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実現した。モーダルシフトにあたっては、トレーラーの改造や新規の転送架台作成に取り組み、海上モーダルシフトによってCO2排出量を削減したほか、ドライバーの運転時間についても、年間で2,000時間以上の削減に成功した。

・(株)日立物流は神奈川県から全国39拠点への食品(小麦粉、パスタ等)の輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現した。12ftコンテナで年間400本以上を継続的に輸送しており、本取り組みによってCO2排出量を削減したほか、ドライバーの運転時間は年間4,000時間以上の削減に成功し、トラックドライバーの負担軽減効果の大きな取り組みとなっている。また、一度に大量に輸入される在庫品を定期的に転送することにより、鉄道輸送量の安定供給を実現した。

・王子物流(株)は愛知県から埼玉県、東京都への紙製品の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実現した。モーダルシフトにあたっては、船内ばら積み輸送を実施し、本取り組みによりCO2排出量を削減したほか、ドライバー運転時間は年間5,000時間程度削減することに成功した。

・三八五通運(株)は岩手県から兵庫県への化粧品原料水の輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現した。モーダルシフト当初は液体専用IBCコンテナやドラム缶で輸送していたが、2016年よりフレキシタンクを利用した液体輸送方法の検証を繰り返し行い、積載効率の向上と荷役作業効率の改善に成功した。モーダルシフトによる CO2 排出量の削減効果に加えて、さらに積載効率向上分のCO2排出量の削減効果およびドライバーの負担軽減を実現した。

(株)バンテックは神奈川県から福岡県への自動車部品の輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実現した。モーダルシフトに際しては、荷量に合わせた船の利用や、船舶輸送拠点の両端に貨物を混載できる混載センターを設けて、一定の積載率未満の貨物に対しては混載輸送を提案する等、CO2排出量の削減と物流効率化を実現している。

・センコー(株)は関西地区から九州地区間の食品、樹脂、ソーラーパネル等の往復輸送について、トラック輸送から海上輸送へのモーダルシフトを実現した。モーダルシフトに際しては、社内集配ネットワークで両地区の集約拠点(ハブ)に荷物を集約することにより、まとまった物量確保と安定した配送力を確保したほか、有事等の船便欠航に備えて、東広島(中間拠点)折り返しによる自社トレーラーのドッキング輸送体制を構築しており、安定的な幹線輸送体制を実現した。ドライバー運転時間は年間2,000時間以上の削減効果を見込んでいる。

(4)新規開拓部門(2件)
・(株)日陸は山口県から茨城県への化学製品の輸送について、トラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトを実現した。トラックドライバー不足を背景に、鉄道輸送へモーダルシフトすることにより、ドライバーは日帰り輸配送が可能となり、CO2排出量の削減およびトラックドライバーの負担軽減を実現した。

・濃飛倉庫運輸(株)はトラック輸送から鉄道輸送へのモーダルシフトについて、3地域にて新規案件を実現した。輸送品目はプラスチック成型品や化合織、特積み貨物など様々で、輸送区間は静岡県から北海道、愛知県から福岡県など多岐にわたり、多種多様なモーダルシフトを推進し、CO2排出量の削減やトラックドライバーの負担軽減を実現した。

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