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東京海上日動、輸送事故削減を支援する包装改善サービス開始

2017/08/07

東京海上日動火災保険(株)は、産学共同による包装改善研究体制を整備し、荷主の輸送事故削減を支援する包装改善支援サービスを開始する。

多くの貨物事故情報データと事故分析実績を持つ同社と、貨物包装研究を専門として国内屈指の輸送包装評価機器群をする神戸大学海事輸送研究室(斎藤勝彦教授)、多くの包装デザイン実績とそれに基づくコンサル技術を有するアイロップ(株)と連携し、三者でダメージの分析と再現実験をすることで、荷役作業から梱包方法までワンストップの運送改善のための支援を行う。

具体的には、まず実際に輸送する製品に対する強度試験を行い、破壊点を定量的に評価したうえで、当該地域や輸送ルートを踏まえて想定される衝撃値を算出し、それに耐えうる荷役作業および梱包方法を提案する。提案の導入後も、それ以降に発生した保険の事故データを基に、1年を目安に改善効果を検証するなどどしてPDCAサイクルを回し、課題克服まで継続的なソリューションとして提供する。

これまで、家電製品や精密機械などの貨物を運送し、それらにダメージが生じた場合の原因分析は、主にショックレコーダー(衝撃記録計)による物流時の衝撃値の収集・分析や、実際の荷役作業を目視したうえで、それに基づき改善案を提案する手法が一般的だ。

昨今は、特に東南アジアの人口増・経済成長に伴い、東南アジアを中心としたグローバルな物流が増えているが、これらのルートでは、ショックレコーダーによる衝撃値の収集・分析に基づくルート選定や積み付け方法の提案を行ったとしても舗装などが不十分な地域も多く、機能しないことがある。また、荷役作業については現法の下請け会社に委託しているケースが多く、他国の荷主や保険会社が直接提案するための接点を持つことが難しかったり、国や知識によりそもそも荷役作業の特性や基準が違うことから、提案内容が受け入れられないケースも多い。

こうした事態に対応するためには、包装を改良・強化することが考えられるが、荷主個社の包装技術だけでは、厳しいコスト環境とも関連して、対応が難しい状況にあった。仮に運送物がパーツの一部であっても、一度事故が発生すると、部品の種類によってはメーカーのサプライチェーンが中断され、製品の生産ラインの稼働率や出荷計画に影響が出る恐れがある。

今回の産学共同研究により、ショックレコーダーの精度を高める研究については従来より行われているが、それに基づき、荷役作業から梱包方法、望ましい運送ルートまで、ワンストップの運送改善を荷主に行う取組は損保業界で初めて。まずは東京海上日動火災保険の既契約者を対象に本格展開する。それも踏まえて今後サービス拡大を目指す。

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