(公社)日本ロジスティクスシステム(JILS)は7月14日、ロジスティクス研究会の2025年度第2回会合を6月17日に実施したと発表した。同会合では以下の通り、研究会メンバーが取り組みを発表し、その発表内容についてディスカッションを実施した。

●発表①:自動搬送ロボット(AGV)導入及びBIツール導入によるB2C出荷作業改善
発表企業:KDDI㈱

発表のポイント
◎EC市場規模拡大によるB2C出荷の増加
・EC市場規模の成長、オンラインショップにおける注文数の増加
・B2C出荷数増加時の作業問題:既存のB2B向けマテハンの不適合、手作業における必要人員・費用の増加
・対策を行う工程の検討:今後のeSIM端末普及を見込み、対策を行う工程の絞り込みを実施

◎ロボットおよびマテハンの導入
・西日本地域の拠点にて自動搬送ロボット(AGV)、自動封函機、シャッタアソートシステム(SAS)導入
・1件当たり作業時間を43%削減、作業費についても大幅な削減を実現

◎他拠点への展開における課題
・東日本地域の拠点へのロボット・マテハン導入当初、膨大なSKU数に起因するAGVによる出荷率の伸び悩み
・ロケーションの効率運用に向けた、BI(Business Intelligence)ツールを活用した在庫可視化、補充数算出ツールの作成
・東日本地域の拠点におけるAGVによる出荷率97%を達成

◎参加者のコメント
・「BIツールを活用した業務効率化について、苦労や今後の改善ポイントが分かった。また、いろいろな方と議論し意見をシェアすることは有意義だと改めて感じた」
・「物流現場の課題解決おいて、若い人財の発想を活かしてDXを成功に導いていく流れを把握することができた」

●発表②:23年間1,300社との人材紹介・中途採用で感じる他業界との比較
発表企業:㈱ロジネス

発表のポイント
◎時代は“昭和”ではなく“令和”
・「新卒一括採用」「終身雇用」等の価値観から「転職が当たり前」「ワークライフバランス重視」等の価値観への移行
・中途採用比率の増加:新卒採用数と中途採用数の比率が同じになりつつある

◎他業界と比較した物流業界における中途採用の状況
・職務定義(ジョブディスクリプション)が曖昧
・採用担当者が少ない:採用活動のための膨大な業務に追いつかない
・情報発信が少ない:求職者に選ばれるように情報発信を行う必要がある

◎「ライバルは同業ではなく他業界にいる」:他業界で行っていること
・定期的な適性診断テスト導入
・リモート導入などの業務改善/フレックス制度の検討
・異動・転勤基準に関しての見直し/研修メニューの見直し 等

◎参加者のコメント
・「なかなか聞く機会のない発表で、自分にとっては補充採用が目先の課題でもあったのでとても参考になった」
・「自社では人事に関する部門が他部門と完全に分かれており、全く知らない採用の要点等を知ることができ、非常に参考になった」