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富士通フロンテック、指定する空間のみを認識するUHF帯RFID向けセンサー技術を開発

2013/09/24

富士通フロンテック(株)と(株)富士通研究所は、大型で薄いシート状のアンテナ(W770mm×D210mm×H6mm)を使用し、指定した任意の上方空間(0~40cm)のみを認識するセンサー技術を開発したと発表した。

これにより、収納棚の段ごとに置かれたRFIDタグ付き用品の有無や位置(どの段に置かれているか)を正確に認識できるため、図書館、書店、レンタル店、アパレル店舗・倉庫などにおける、物品管理業務の飛躍的な精度向上が実現可能だ。本技術を適用した製品の販売は来年1月を予定している。なお、本技術は、9月25日から9月27日まで東京ビッグサイトで開催される「第15回 自動認識総合展」の富士通フロンテックブースに展示する。

UHF帯RFIDは、他のRFID技術(13.56MHz帯など)より通信距離が長く、小売・アパレル業などの店舗や物流過程での一括棚卸や一括検品に効果を発揮することから、近年、種々の業種・業界で採用が広がっている。

こうしたなか、読み取りしなくてよいRFIDタグまで認識してしまう「読み過ぎ」や、読み取り対象のRFIDタグが電波空間の中にあるにも関わらず電波にムラがあるため読み取りできない「読みムラ」が発生し、運用上の課題になっていた。

また、上記課題を解決する一方策として使用されているメッシュタイプのUHF帯RFIDアンテナは、メッシュに配置されたアンテナの漏れ電波を利用する特性上、アンテナ上方10cm程度の空間までしか読み込めないため、棚に積み上げられたアパレル商品などを途中までしか認識することができないなどの課題があった。

同社では、これら課題を解決するために必要となる技術的要件や実用化に向けたコストダウンなどの検討を行い、また、富士通研究所では、それら要件を満たすための技術開発を行いった。

今回、薄く大きなシート(W770mm×D210mm×H6mm)に共振用アンテナを埋め込み、アンテナパターンや配置方法などを工夫した、全く新しいセンサー技術を開発した。シートの上方数十cm(0~40cm)の空間範囲内にあるすべてのRFIDタグの読み取りが可能で、かつ、この空間から外れた場所にあるRFIDタグは読み取らないことも大きな特長だ。本技術を棚の各段に実装することで、「読み過ぎ」や「読みムラ」を解消し、段ごとの正確な読み取りが可能になる。

適用業務としては、次のようなものを想定している。
(1) 図書館・書店・レンタル店
本技術を装置した書棚・商品棚にRFIDタグ付き書籍・商品が収納されている場合に、段ごとに、その段上の範囲のみ読み取ることができ、リアルタイムな棚卸を実現する。また、商品の場所(どの段に置かれているか)を検索・特定できるなど、業務の大幅な効率化、および顧客満足度向上を実現する。
(2) アパレルなどの店舗・倉庫
本技術を装置した商品棚・保管棚にRFIDタグ付き商品が収納されている場合に、段ごとに、その段上の範囲のみ読み取ることが可能。これにより、「リアルタイムな棚卸」、「販売済み商品を遅滞なく補充」、「商品の場所(どの段に置かれているか)を検索・特定」、「持出しを検知」など、業務の大幅な効率化、かつ売上アップを実現する。また、本技術により顧客が個々の商品を手に取られたことが認識でき、商品の配置や陳列順などによる購買動向の把握が可能となる。これらの情報の蓄積で、マーケティングや販促情報として活用できる。

本技術は本年12月末までに製品化し、来年1月より販売開始予定。

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