㈱Hacobuは6月10日、㈱PALTACが同社の動態管理サービス「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」を全国の19拠点に導入すると発表した。これにより、PALTACは配送業務の可視化とマネジメントを強化し、全国規模での配送効率の向上を目指す。
PALTACは、創業以来125年の歴史を持つ、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売業界の企業。シャンプー、石鹸、歯磨き粉等の日用品から、風邪薬や湿布等の一般用医薬品まで幅広い製品を取り扱い、メーカーと小売業の間に立つ「卸」として、流通の効率化とローコスト化を推進してきた。
トラックドライバー不足等、卸売業の物流領域は大きな環境変化に直面している。こうした状況を踏まえ、PALTACは中期経営計画の中で「配送改善の強化」を重点戦略の1つに位置づけている。
共同配送の推進に加え、多角的な改善アプローチを組み合わせることで、ドライバー不足にも柔軟に対応できる効率的な配送体制の構築を目指している。
その一環として、自社や運送事業者が保有する配送関連データを集積・統合し、KPI(重要業績評価指標。業務のパフォーマンスを計測するために設定する指標)を管理する仕組みの整備に取り組んでいる。データ活用を通じ改善策の選択肢を広げることで、配送マネジメント力の強化を図っている。
PALTACは、ドライバーの負担を増やさずに配送マネジメントを行うツールとして、車両の位置情報データの取得・分析ができるサービス「MOVO Fleet」を導入した。MOVO Fleetにより、車両ごとの労働時間や店舗到着・出発時間、荷役・待機時間等のKPIを可視化し、配送業務の効率を高めている。また、収集データをもとに配送計画や運行管理を最適化し、CO2排出量の削減目標(2030年までに、2021年3月期比50%減)の達成にも取り組む。

その目的に向けて、PALTACは2024年6月より宮城・秋田エリアでMOVO Fleetの先行導入を実施した。
先行導入を通じて、トラックの納品先店舗等における滞在時間をはじめとした、配送業務の改善に活用できるデータを取得できることを確認した。滞在時間が長くなる傾向のある店舗先については、関係者と連携しながら、納品動線の見直しに取り組んでいる。
そうした取り組みを通じて、MOVO Fleetが配送業務の可視化や改善活動に有効であることが明らかとなり、PALTACはMOVO Fleetの全国への本格展開を決定した。

●MOVO Fleet導入の概要
2025年度中に、PALTACはMOVO Fleetを19拠点で順次導入する予定。対象は約800台の車両。
ドライバーの稼働状況を可視化し、運行ダイヤの最適化に活用するほか、MOVO Fleetのデータをはじめ、PALTACや運送事業者が保有する配送関連データを統合し、データプラットフォームを構築することで、業務改善の幅を広げる。
●今後の展望
PALTACは、MOVO Fleetの活用を通じて、物流の可視化とマネジメントの高度化を加速させ、生活必需品の安定供給を支える強固な流通基盤の構築を目指す。
物流領域で懸念される「運べないリスク」の軽減に業界全体で取り組むモデルケースとなることを目指し、当該データ活用による共同配送やBCP対策の強化にも取り組んでいくとしている。