NIPPON EXPRESSホールディングス㈱は9月25日、AIと量子技術の活用に強みを持つ㈱グルーヴノーツと共同で、航空貨物の混載仕立て業務の自動化に向けた実証実験を開始したと発表した。
航空輸送における混載仕立て業務は、複数顧客の貨物を仕向地別に組み合わせて、航空機に搭載できるよう調整を行い、パレットやコンテナ等の輸送単位にまとめて出荷する業務。貨物のサイズや特性、到着期日など様々な条件を考慮する必要があり、高度な知識と経験が求められる。物流業界全体で人手不足が深刻化し、効率化の必要性が高まる中、同業務においては状況に応じた判断が求められることから、自動化が難しい領域とされてきた。
NXグループは、NXグローバルイノベーション投資事業有限責任組合の案件として、今年3月にグルーヴノーツと資本業務提携契約を締結。グルーヴノーツは、AIや量子コンピュータ等の最先端テクノロジーを活用し、企業の課題に対して最適解を導くクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」を提供しているスタートアップ企業。「MAGELLAN BLOCKS」は「組み合わせ最適化」や「数理最適化」を複合的に行うことに強みを持っている。今回の提携により、NXグループとグルーヴノーツは「MAGELLAN BLOCKS」を活用し、今まで実現が困難とされてきた航空貨物の混載仕立て業務の自動化に向けた検証を実施する。
今回の取り組みにより、混載仕立て業務の効率化だけでなく、ヒューマンエラーの防止など正確性の向上を目指すとしている。
●取り組み内容と今後の展開
今年5月より、レーンと貨物種別を限定して業務プロセスを整理し、サンプルデータを用いて最適化技術を活用した混載仕立ての検証を開始。今後、検証結果をもとに航空拠点での導入・実用化に向けた制約条件等を確認し、特定路線だけではなく取り扱い航路全体での運用を検討する。導入効果として、航空混載仕立て業務に関わる時間を2025年中に5%削減、その後5年で25%削減することを目標にしている。将来的にはNXグループ内で水平展開を行い、船舶、鉄道、トラック輸送といった様々な輸送モードで活用し、グループ全体の物流効率化に貢献することを目指すとしている。
NXグループは、DXを、重要課題(マテリアリティ)を推進するためのエンジンの1つと位置付け、デジタルを活用し業務を効率化 ・ 省人化する「デジタル化」と、未来の柱になり得る事業領域の「DX」を進める、両利きの「DX戦略」を描いている。そのDX戦略のもと、NXグループとグルーヴノーツは今後も、倉庫における人員配置最適化や物量予測、操配業務の効率化等をはじめ国内外の物流現場の改善・DX化、新たな付加価値の創造に取り組んでいくとしている。
●「MAGELLAN BLOCKS」について
「MAGELLAN BLOCKS」は、AIやLLM(大規模言語モデル)、量子コンピュータなど様々なテクノロジーを活用できるクラウドプラットフォーム。「MAGELLAN BLOCKS」には、データの統合・分析や予測・分類、最適化等、課題解決に欠かせない機能がブロックの形で用意されている。ブロックを組み合わせることで、システムのシンプルな構築・運用を実現するほか、テクノロジーの導入が簡便になり、システム開発の効率化、検証改善の高速化を可能にする。
https://www.magellanic-clouds.com/blocks/