ヤマハ発動機㈱は9月19日、同社グループのeve autonomyが提供するサブスク型自動搬送サービス「eve auto」が現在20都府県・40以上の工場や物流拠点等で稼働、導入が拡大していると発表した。
「eve auto」は、高い走破性と信頼性をもつ同社の電動ゴルフカーの車両技術と、世界中で利用されている自動運転ソフトウェア「Autoware※」を活用した車両による自動搬送サービス。2022年11月のサービス開始以来、自動車関連や化学・エネルギー産業、また人手不足が深刻化する物流業界等の現場で活用が広がり、活躍している。
※Autowareはオープンソースの自動運転OS“Autoware”の普及を目指す国際業界団体The Autoware Foundationの登録商標。
eve autonomy CEOの星野亮介氏は、次のように述べている。
「工場等の屋内施設では、すでにAGVやAMRといった自動化システムの普及が進んでいますが、たとえば建屋と建屋をつなぐような屋外の搬送は、いまでも人による作業が中心です。当社が提供するeve autoは、雨風の影響を受ける屋外での搬送はもちろん、段差や傾斜の乗り越え等でも高い走破性と搬送力を発揮します。加えて、導入や運用のしやすさ、また扱いやすさやワンストップのサービスで高い評価をいただき、導入された各事業所の効率化やコストの削減等に貢献しています」
今夏には、「eve auto」の自動搬送が「体験」できる新拠点を静岡と東京に開設。8月にオープンした「竜洋ショールーム」(磐田市)には、搬送現場を再現したデモコースが常設されているほか、東日本や海外からのアクセスも良い「羽田オフィス」(大田区)でも実機を前に機能や性能を手軽に確認することができるとしている。
「静岡まで足を運んでいただければ、導入を検討している実際の現場を想定しながら、設備との連携や走行環境ごとの限界値の確認、またタブレットを操作して運用の手軽さ等を体験していただけます」(星野氏)。
これまで「実機を確認したい」との要望があれば、ヤマハ発動機の工場に案内して稼働中の搬送工程の見学で対応していたが、「これからは導入を検討している現場の要件をイメージしながら、よりリアリティのある検証やシミュレーションが可能となります」(星野氏)としている。
従来トラックが担っていた搬送工程を「eve auto」に置き換え、ルートの短縮等によって時短やコストの半減につなげた事例や、同時に6台を配置することで業務プロセス全体を改善し、段階的に12人分の省力化につなげたヤマハ発動機本社の事例等、様々な実績が報告されている。