自動認識システム開発のアイニックス㈱は8月より、中国Hangzhou Hikrobot Co., Ltd.(HIKROBOT)製の潜込式自律搬送ロボット「LMR」シリーズを販売開始した。
HIKROBOTは2015年から自律搬送ロボット(AMR)の開発を開始し、2023年には3,000以上のユーザーに3万台以上を出荷している。HIKROBOTの特長は、潜込式のほかに、フォークリフト式、カートン搬送式、コンベヤ式等の豊富なライナップと倉庫管理ソフトや制御ソフト等の豊富なアプリケーションを提供している点にある。
LMRシリーズは、棚やコンテナ、パレット、台車等の下に潜り込み、リフトアップして搬送する潜込式の自律搬送ロボットで、自動で積み降ろしと搬送ができる。ナビゲーションは、2次元シンボル認識によるバーコード方式 (R-SLAM)、LiDARによるレーザ方式 (L-SLAM)、床模様認識によるビジョン方式 (V-SLAM)を使用したマルチナビゲーションに対応しているので、様々な環境で正確な走行が可能。また、様々なセンサを統合化したマルチセーフティにより、人が前を通過した時に停止する等、ロボットと人との協働が可能。
自分の位置を特定しながら環境地図を同時に作成するSLAM技術 (Simultaneous Localization and Mapping) を使用する。2次元シンボル方式では、床のQRコードを認識することにより自分の位置を特定するので確実だが、シンボルのメンテナンスが必要。レーザ方式では、LiDARによりレーザ測量で周囲の構造物から位置を特定するので、メンテナンスは不要だが、広い場所での特定が困難。ビジョン方式では、カメラで床の模様を識別して位置を特定するので、床が綺麗でなければならない。そこで、これらを組み合わせたマルチナビゲーションは、正確で安定的な走行を実現する。
レーザ、カメラ、超音波など各種センサを搭載し、前方向、側方向、後方向面の障害物を監視することができる。さらに、人やフォークリフトがLMRシリーズに近づいた場合、停止や方向転換することができるほか、ガイドランプは走行方向をレーザで明示するので、目視で確認できる。バンパストリップと非常停止ボタンは衝突を回避する。これらは、人とロボットが同じ場所で作業する場合、安全を担保するために欠かせない機能としている。
搬送できる最大荷重によりQ2-400 (400Kg)、Q3-600 (600Kg)、Q7-1000 (1,000Kg) のモデルが用意されている。いずれも空荷重の場合、最大毎秒2mの速度で走行でき、最大荷重の場合、毎秒80~120cmで走行できるほか、バッテリは1.5時間の充電で6~8時間の走行が可能。充電ステーションはデフォルトで自動充電モードになっているので、手動による操作は不要。また、動作状態とバッテリ残量に応じて、アイドル状態のときに充電ステーションに自動的に移動して充電する。