㈱椿本チエインは7月30日、EAGLYS㈱と世界最高レベル(※)の高速・高精度「AI画像認識技術」を協業開発し、物体を瞬時に画像認識できる「AI(あい)てむ鑑定士」を実用化したと発表した。

その第1弾として、椿本チエインのチルトトレー式自動仕分けシステム(リニソート)に「AIてむ鑑定士」を組み込んだシステムをセンコー㈱に納入。「AI画像認識技術」の実用化による物流支援ソリューションの提供を開始した。

※自社調べ:商品認識において超高速(約0.1秒~0.4秒)かつ認識正解率99.99%を達成

「AI画像認識技術」を活用した「AIてむ鑑定士」(右奥の白い筐体)と自動仕分け装置「リニソート」をシステム統合した物流支援ソリューションの導入例
「AIてむ鑑定士」で検知・判別された商品の画像(実画面)

●「AIてむ鑑定士」を活用した物流支援ソリューションについて
近年、Eコマースの市場規模拡大による商品配送量の増加や、物流現場の人手不足等、物流業界が抱える課題の解決策として、AI(人工知能)の活用が注目されている。今回、センコーに納入した「AIてむ鑑定士」は、リニソートのトレー上の仕分け商品を画像認識AIで検知・判別するもの。認識正解率は99.99%以上で、極めて類似した商品まで瞬時に判別。バーコードやRFID利用と異なり、ラベル・タグ準備やスキャン作業等、人手作業なしで導入可能としている。判別結果は、商品投入作業者の端末のほか、専用のWebシステムで検索・確認することが可能としている。

現在「AIてむ鑑定士」は、センコーの複数の物流センターで実運用を開始している。今後、導入拠点や適用商品を広げることで、AI運用のノウハウや画像データの蓄積を行い、システムの改良・機能追加を行っていくとしている。

「AI画像認識技術」を利用した商品判別の有用性・革新性は認識されていたが、そのためには数千、数万単位の極めて多種の商品画像データを収集し、それらを高精度で識別する技術が必要なことから、実用化が難しい分野とされていた。椿本チエインは搬送システムを取り扱うマテハンメーカーの強みを生かして、運用現場でデータを収集。顧客の協力のもと、実証実験を経て実用化に至ったとしている。

●「AIてむ鑑定士」の特長
「AIてむ鑑定士」は、物流現場の省力化・自動化の要となる「商品の自動識別」を、AI画像認識により実現した物流支援ソリューション。多品種商品の同時認識、精度の維持・向上等、さらなる進化と差別化を進め、今後数万点規模の商品取り扱いが可能になる見込み。画像による商品の自動識別は、人手を要する商品コードの入力作業自動化や検査等、さらに多くの工程での活用が期待できる。

①日用品・雑貨品など大量のアイテム数(種類)に対応可能
②アイテムと数量を瞬時に認識(認識正解率99.99%)
③RFIDの利用が困難だった飲料品や金属加工品も識別。幅広いアイテムへの対応が可能

●今後の展開
今後も物流業界の課題解決に向けて、「AIてむ鑑定士」をリニソート以外の「T-AstroX」や「T-Carry System」等、椿本チエインの搬送システムに実装することにより機能と用途の拡大を目指す。「AI画像認識技術」を最大限活用することで、物流・産業分野における「省人化・無人化」を進めるほか、「人手不足」「長時間労働」等の社会課題の解決に貢献していくとしている。

●EAGLYSについて
EAGLYSは、安全なデータ活用を実現する秘密計算技術と最先端AI技術とをかけ合わせた、データセキュリティ/データ利活用支援/AI設計・開発の事業を展開する企業。業界各社の秘匿データ収集からAI・データ活用を支えるアプリケーション基盤の開発と、それを実現する要素技術の応用研究が強みとしている。「世の中に眠るデータをつなぐハブとなり、集合知で 社会をアップデートする」というビジョンの下、様々な顧客のAIならびにデータのコラボレーション促進を支援している。
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