三菱HCキャピタル㈱、㈱ビックカメラ、㈱山善は11月14日、経済産業省による委託事業「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」(※1)に採択されたと発表した。同事業は物流施設において単品ごとに必要な個数を在庫から運び出すピースピッキングを担う協働ロボット(※2)の効果的な活用事例の創出に向けた実証を行うもの。

実証で使用する協働ロボット

物流施設のイメージ(写真はビックカメラ船橋センター内在庫エリア)

昨今、物流分野における労働力不足が深刻化するなか、物流施設での荷役作業の自動化や機械化の動きが進んでおり、特に需要が拡大するEC事業においてピースピッキングは作業人数が最も必要な工程であり、物流ロボットによる自動化への期待が高まっている一方、形状の異なる商品に柔軟に対応する自動化技術はその投資コストや導入環境の整備が課題となっている。

そこで現在、ピースピッキング工程における物流ロボットの効率的な活用に向けて、ロボットと手作業の効果的な組み合わせ、使用環境・運用方法の標準化等の環境整備が求められている。

同事業では、まずは物流施設のピースピッキング工程にて協働ロボットの活用が期待される複数のユースケースにおいて、様々な商品や作業に対する柔軟性・安全性の確保、投資効果を高める環境整備項目(※3)の整理を行う。その後、実際にEC事業を行うビックカメラの物流施設でロボットの実証テストを行い、人とロボットの効果的な役割分担等の環境整備項目を検証する。将来的には、物流施設内の各工程や作業に協働ロボットが柔軟に対応する新たな自動化サービスの構築を図る。

三菱HCキャピタルは、食品分野や施設管理分野でロボットフレンドリーな環境整備に向けた取り組みを進めているほか、工作機械等を用いた様々なファイナンスの提案において山善と密接に連携、協働ロボットビジネスにおけるレンタルも含めた協業を進めてきた。同事業においても、ロボティクス領域における強固なパートナーシップやソリューション構築力を生かし、その実証を主導、家電小売業大手であるビックカメラのEC事業に関する知見、山善の高度なシステムエンジニアリング力(※4)を融合し、物流分野におけるロボットフレンドリーな環境の整備、持続可能な社会の実現に貢献する。

※1:経済産業省HP https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/robot/230929_robotfriendly.html
※2:人が近づいても安全な仕様で、使用にあたり、安全柵を必要としないロボット。
※3:人と協働ロボットの役割分担やピッキングの対象物を認識するためのデータ整理等、ピースピッキング工程においてロボットを効果的に導入するための検証項目。
※4:資本業務提携先であるアセントロボティクス㈱の高度なAI認識技術を使用したピッキングソフトウェアも活用予定。

●今回の実証事業について
目的:物流倉庫内のピースピッキング工程における、協働ロボットを用いた人とロボットが協働する新たなユースケースの効果検証
場所:ビックカメラ船橋センター
実施期間:2023年11月~2024年3月(予定)
各社の役割:
三菱HCキャピタル:プロジェクト管理、成果の取りまとめ、使用する機器のレンタル
ビックカメラ:検証時のフィールド・データの提供、現場環境の構築
山善:ロボットの調達、現場調整、システムインテグレート、ロボットの安全教育