ヤマト運輸㈱は6月28日、群馬県と「カーボンニュートラル実現に向けた共創に関する連携協定」を締結した。
両者が掲げる目標や特色・強みを掛け合わせることにより、カーボンニュートラルの実現および生活者・事業者・自治体の全てにメリットがある持続可能な社会の実現を目指すとしている。
近年、カーボンニュートラルの実現に向け、自治体、事業者を問わず脱炭素の取り組みが求められている。ヤマトグループは、「2050年温室効果ガス(GHG)自社排出実質ゼロ」および「2030年GHG自社排出量48%削減(2020年度比)」の実現に向け、各取り組みを進めているほか、サステナブル経営の実現に向け、全国各地の自治体と連携し、地域活性化や地域の課題解決に向けた取り組みを進めている。
群馬県は、2050年に向けた「ぐんま5つのゼロ宣言」の中で、宣言2「温室効果ガス排出量ゼロ」を掲げ、国内でも日照時間が長い地域特性を生かし、再生可能エネルギーの導入などを推進している。
両者は、2017年3月に地域活性化包括連携協定を締結し、群馬県産品の販売促進、観光振興、災害対策など様々な取り組みを進めてきた。2022年7月には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築プロジェクト」でヤマト運輸のグリーンデリバリーの実現に向けた案件が採択され、群馬県内におけるEV導入・運用、エネルギーマネジメントに向けた取り組みを行っている。
今回、両者で連携を強化し、カーボンニュートラルの実現および生活者・事業者・自治体のすべてにメリットがある持続可能な社会の実現を目指し、同協定を締結した。
●協定項目および取り組み事項
(1)再生可能エネルギーなどの利活用および導入拡大に関すること
2030年度までに群馬県内の営業所等に太陽光発電設備を20基導入する予定。その他、LED照明の導入等を推進する。
(2)運輸部門における脱炭素化の推進に関すること
2030年度までに群馬県内の集配車両約850台をすべてEVにする予定。また、オープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」の設置等、再配達削減により環境に配慮するとともに生活者の利便性向上に向けた取り組みを推進する。
(3)エネルギーの地産地消や面的利用などの推進に関すること
「グリーンイノベーション基金事業」の助成事業において、着脱・可搬型のカートリッジ式バッテリーのトラック輸送による送電実証を計画している。同バッテリー輸送を群馬県内のマイクログリッド(※1)に活用することで、エネルギーの地産地消、面的利用の推進に向けた検討を行う。
(4)地域交通課題の解決に向けた検討に関すること
自動運転、MaaS(※2)、客貨混載など幅広いテーマにおいて共同で検討を行う。
(5)脱炭素化に向けた県民の理解促進に関すること
群馬県内の小中学校を対象とした、環境への理解を深めるための「クロネコヤマト環境教室」開催や、群馬県内で開催される脱炭素関連イベントへの積極的な出展等を行う。
※1:エネルギー供給源と消費施設を一定の範囲でまとめて、エネルギーを地産地消する仕組みのこと
※2:複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス
●今後について
群馬県と連携し、カーボンニュートラル実現に向けた各取り組みを推進するほか、引き続き全国各地の地域と連携しながら、地域活性化や地域の課題解決等、サステナブル経営に取り組んでいくとしている。