三菱ロジスネクスト㈱、㈱島津製作所、㈱NTTデータの3社は4月13日、2022年8月より経済産業省が実施する令和4年度「物流MaaSの実現に向けた研究開発・実証事業」実施団体として、各種センサ等を用いたトラック積降ろしを中心とした荷役作業の可視化に取り組み、今回実用化に向け一定の成果を得られたと発表した。
労働人口減少や物流の2024年問題対応等によりトラックドライバー不足が深刻化する中、「自主荷役」と呼ばれるドライバーによる積降ろし作業の改善と、そのために必要な荷主現場における荷役作業の実態把握の重要性が高まっている。また、荷役作業の実態把握は将来の商用車の自動運転・自動荷役の実現に向けた類型化・標準化推進においても必要不可欠としている。
今回の実証は、トラック・フォークリフト・ドライバーに装着した各種デバイスで得られたデータの収集・分析により「ドライバーの負荷状況」や「貨物の積載状況」を可視化し、運行品質改善への道筋を検証した。
●実証事業概要
実証期間:2022年8月~2023年3月
実証目的:
・架装事業者の協力を得て、ウイング車(※1)・テールゲートリフター(TGL、※2)車の駆動源である油圧ユニットをIoTユニット(島津製作所製)に積み替え、実際の集配作業における挙動データを収集
・ウイング車からの積降ろしに使用するフォークリフトに各種センサを装着、荷重情報や挙動データを取得
・ドライバーの協力を得て、ウエアラブル端末を装着、行動センシングによる作業識別モデルを構築
各社役割:
・三菱ロジスネクスト:実証事業全体取りまとめ、フォークリフト挙動データ取得・分析
・島津製作所:トラックおよびフォーク荷役機構の油圧データ取得・分析
・NTTデータ:フォークリフト荷重計画像データ取得・分析、ドライバー行動センシングモデル構築
※実証結果サマリ「IoT 活用による荷役作業の可視化で物流課題の解決に貢献~ドライバー行動センシングモデル構築~」
https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/news/release/2023/041300/041300-01.pdf
●実証事業の成果
従来ドライバーの自主申告に依存していた荷役作業の可視化を通じて、集配先と協同での作業環境改善やルート変更等のドライバー負荷軽減、過積載の防止、車両の突発故障の未然防止による円滑な集配業務の実現等の効果が見込まれるほか、将来的に積荷情報とのデータ連携が進めば、着荷主側での作業効率改善やマッチングによる積載効率の向上につながる。
今回の実証により得られた知見を活かし、今後可視化の深耕とトラックデータとの連携を進め、1日も早い社会実装に向けて取り組みを加速していくとしている。
※1:ボックス型の荷台の側面が左右に大きく開くトラックのこと。
※2:トラック荷台の後部に装着された荷物積み降ろし用の昇降装置のこと。