沖電気工業㈱(OKI)は10月31日、スマートロジスティクスを支援するアルゴリズム「コスト最小型ルート配送最適化AI」に熟練社員の配車技量をAI化させた配送時間調整等のプログラムを新たに開発したと発表した。これにより、経験のあるひと握りの熟練社員に依存していた配車調整業務を平準化させ、業務の属人化を解消することができるほか、従来では考慮できていなかった配送先の搬入作業時間についても設定できるようになり、搬入時間帯を被らせない等の対応も可能となるとしている。

2021年11月より行っている㈱ロンコ・ジャパンとの実証実験に今回の機能を適用させ、燃料費に加えて有料道路利用料を併せた年間経費の削減額を、従来の「コスト最小型ルート配送最適化AI」よりも約2倍削減することが確認できたとしている。

ロンコ・ジャパンの配送トラック

「コスト最小型ルート配送最適化AI」は、効率化できる「分割配送(※1)」をもとに構築したOKI独自のAI手法。2021年11月からの試行運用し、最小コストかつ最適な配送ルートを算出できることを実証している。

一方、走行距離削減を最大化すると過剰な分割が発生し、各店舗での積み下ろし作業の増加や複数車両が同時に搬入する等、煩雑さによる分割損を考慮しなければならないほか、地図上では高速道路等の有料道路を利用することから、最適な組み合わせでも渋滞や通行止め等配送リスクの高いルートへの配慮等も必要だった。その結果、最終的には熟練社員の経験による調整を行わないとスムーズな運用ができないケースも存在していた。

今回のプログラムは、配送時の荷物の過剰分割を防止するほか、あらかじめ配送リスクの高いルートを除外する機能を追加する等、熟練社員に属人化している配車技量をAI化した。これにより、経験が浅くても熟練社員と同等の配車技量で最適な配送ルートを算出することができるほか、従来では考慮しきれなかった有料道路利用料の配慮も追加し、経費削減効果も期待できるようになった。実際に配送車両台数15台、配送店舗数約50のエリアで実験を行ったところ、前回実験の燃料費約360万円だけでなく有料道路利用料を含めて約700万円削減することができたとしている。

OKIは、走行距離の削減によるカーボンフリー経営等に貢献するため、より多くの店舗配送を実施している流通企業や物流企業に対し、「コスト最小型ルート配送最適化AI」を利用できるように来年度のサービス開始を目指すとしている。

※1:分割配送
1つの配送先拠点に対して複数台の車両で荷物を届ける配送方法。適切に管理すれば、車両の空いたスペースを活用しやすく積載率向上など生産性の高い配送が可能となる。