Telexistence㈱(TX)と㈱ニチレイロジグループ本社、センコー㈱は3月4日、TXの独自AIシステムによる自動制御と人による遠隔操作のハイブリッド制御ロボット技術を核とした新たな物流オペレーションの開発を目的に、TX製ロボットのニチレイロジグループ、センコーへの導入に向けた実証実験を開始した。

映像は㈱ロジスティクス・ネットワーク東扇島物流センターにて、TX製ロボットの遠隔操作による実験を行う様子。2022年3月1日撮影。
https://youtu.be/CdIYSjFbHXg

第1段階として同日、ニチレイロジグループの物流施設の冷蔵エリアで、TX製遠隔操作ロボットがカゴ台車への混載積み付けを行う実証実験を実施した。また、2022年秋頃には、センコーの大手小売業向け物流施設で実証実験を予定している。

物流施設向けTX製ロボットは、協働用ロボットアーム、AGV(自律走行搬送ロボット)、エンドエフェクタおよび遠隔操作機構で構成されている(※1)。一般的なパレタイズ/デパレタイズロボットは床等へのアンカー固定が必要のため、ロボットの稼働場所が限定的となったり、ロボット作業の前後工程にマテリアルハンドリング機器等を追加したりする必要がある。一方、TX製ロボットはAGVと遠隔操作機構を備え、さらにすべての電力がAGV内蔵バッテリーから供給される仕組みのため、移動を伴う作業や時間帯等に応じて異なる場所で稼働することが可能。また、ロボットを遠隔操作するオペレーターが把持対象物や積み付け場所等を目視で確認するため、ケースサイズ等に合わせた最適な把持や載置が可能で、保冷カバー付きカゴ台車のような複雑な作業を要する場合も従来の積載効率を維持した混載積み付けを実現している。

※1:協働用ロボットアームとAGVは他社製を採用

TXは今回の実験で、人件費高騰や慢性的な人手不足が深刻化する物流業界で、Augmented Workforce Platform(AWP/拡張労働基盤)を通じて(※2)、身体への負担が大きい冷蔵エリアでの作業や重たいケースの運搬をロボットが代替することによる労働環境の改善や生産性向上に関する検証を行う。AWPを通じて物流業界の課題解決を図ることは、労働者からすべての身体的労働作業を解放する、というTXの企業ミッションに合致する取り組みであり、物流施設への本格導入を目指す。

※2:ロボット制御を遠隔操作と機械学習の最適な混合比で制御可能なプラットフォーム

ニチレイロジグループは、人手不足への対応や作業者の負担軽減、さらには現場作業の「誰でもできる化」を目的とした業務革新に注力しており、人間と機械の双方の特性を活かした最適な作業体制の構築を進めている。今回の実験では、冷蔵エリアに配置されたロボットを、人間が事務所から遠隔操作(移動・作業)することで、物流センター作業におけるリモートワークとストレスフリーな作業環境構築の可能性を検証する。今後も先端技術の導入や作業のデジタル化を積極的に推進し、顧客のサプライチェーンを支える持続可能な物流の実現に取り組んでいく。

センコーは2014年にデパレタイズアームロボットを導入し、以降もAGV等、省人化・省力化機器の導入を積極的に行っている。今回のTXのロボットに最も期待している点は、簡単に移動が出来ること。一度設置すると、移動が困難な従来型とは違い、時間帯や業務の都合に合わせて移動できることで、ロボットの稼働時間が飛躍的にアップし、さらに遠隔操作で人が常時監視することで、トラブル時の迅速な対応も可能になると考えている。また、倉庫作業における人手不足解消は喫緊の課題。その課題に対して、人の代わりとなって、夏場の作業や手荷役等の負荷のかかる作業をロボットに担ってもらうことで削減し、一方でワークライフバランスを図りながら、時間や場所に限定されない働き方を、より多くの人々に提供することを目指す。

実証実験が行われたニチレイロジの物流施設
ロボットによる最上段への積み付け
遠隔操作オペレータとコックピット