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三井E&S/ゼンリン、大分港でクレーン遠隔点検実証

2021/10/25

(株)三井E&Sマシナリーと(株)ゼンリンデータコムは10月25日、DJI JAPAN(株)の技術協力を受け、同社の最新型産業用ドローン「Matrice 300 RTK」を使用し、大分県の協力のもと、大分港大在コンテナターミナル内の港湾クレーンを対象に、4G(LTE)回線を利用したドローンによる遠隔自動点検の有効性を検証する実証実験を実施した。

今回、三井E&Sマシナリーは飛行申請、飛行ルートの設定および、機体のオペレーション、ゼンリンデータコムは遠隔飛行ルート設定プログラムの作成、ドローンの 4G(LTE)回線利用のための調査および関係各社との調整、各種申請関連の支援、大分県は実証実験の実施場所の提供を実施した。

●実証実験の概要 
実施期間:2021年8月2日(月)から8月5日(木)の4日間
実施場所:大分県大分港大在コンテナターミナル内(管理者:大分県大分土木事務所)の港湾クレーン
実施目的:両社はこれまでに、ドローン自動飛行による港湾クレーン点検技術を確立し、港湾クレーンの構造物点検の一部を、ドローンの自動飛行によるリアルタイムでの映像確認および画像撮影へと置き換え、点検作業の効率化や省人化に取り組んできた。さらなる点検作業の効率化・省人化に向けて、両社は 4G(LTE)回線を利用したドローンの遠隔操縦技術とドローン自動飛行によるクレーン点検技術を組み合わせ、遠隔地から目視外飛行にて、ドローン自動飛行によるリアルタイムでの映像確認および画像撮影を実現する「遠隔ドローン自動飛行点検」の技術検証となる実証実験を行った。

本実証実験では、三井E&Sマシナリーが所有するDJI JAPAN(株)のドローン(Matrice 300 RTK)、カメラ(Zenmuse H20)を使用。ドローンの位置制御には、RTK測位に対応したソフトバンクの高精度測位サービス「ichimill」を利用した。

また、今後の運用を見据え、ドローン操縦者位置をコンテナターミナル内の事務所内(下図、場所①)に、ドローンの離着陸地点をメンテナンスハウス周辺(下図、場所②)に設置し、本実証において点検対象とした港湾クレーン2号機までの飛行経路と点検箇所(CG画面上で設定)の撮影を設定した自動飛行ルートを事前に作成し、現地では4G(LTE)回線を通じて事務所内にいる操縦者からの飛行開始の指令を受信したドローンが、自動飛行ルートに従って飛行し、4G(LTE)回線を通じて撮影および点検箇所の映像のリアルタイム配信を実施した。

リアルタイムで点検箇所の状態を確認する中で、腐食等が激しく、詳細に確認したい個所があった場合は、自動飛行から手動飛行に切り替え、カメラを調整することで、その箇所の状態を詳細に確認可能であることも検証した。4G(LTE)回線を用いたドローンによる遠隔自動飛行点検と遠隔での手動操縦による点検の併用での実施は、国内初の取り組みとなる。

今回の実証を通して、4G(LTE)回線による遠隔自動飛行ドローンで、遠隔地から港湾クレーンの点検が実現可能であることを確認できた。これにより、現地に出向くことなく港湾クレーンの点検が可能となり、点検作業のさらなる効率化・省人化が期待できる。ドローンの飛行と点検箇所の撮影は自動ですべて行うため、操縦スキルに依存しない安定した撮影が可能。県では、IoT やロボット、ドローン、アバター等の先端技術を活用することで、地域課題の解決や新しい産業分野として県内産業の振興を目指す「先端技術への挑戦」を推進している。IoT やドローンを活用した保全・保安の取り組みについて、大分コンビナート企業協議会や大分県ドローン協議会等とも連携し、地域における社会実装を促進しており、引き続き、本取り組みの推進を支援していく予定。

両社は、今年度中に大分県の協力のもと、同コンテナターミナルで追加検証を実施し、港湾クレーンの遠隔点検の実用化に向けて取り組み、ドローンの社会利用の可能性を検討する。

ドローンで自動撮影した画像は、現在開発中の港湾クレーン点検管理システム内で点検結果とともにクラウドに蓄積することで、効率的な運用管理が可能になる。本システムは三井E&Sマシナリーの港湾クレーンの次世代遠隔モニタリングシステム「CARMS」と連携も可能としている。

●大分港大在コンテナターミナル実証実験配置箇所(上)、事務所での遠隔操縦・点検の様子(中)、点検箇所の自動撮影画像(下)

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