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キナクシス、S&OPプロセスに物流の最適化組み込み

2021/10/22

Kinaxis Inc.(キナクシス)の日本法人キナクシス・ジャパン(株)は10月22日、サプライチェーンの高度化に向け4flow社と提携し、サプライチェーンプランニングを実現するクラウドベースのSaaSプラットフォーム「RapidResponse」のネイティブアプリケーションを構築したと発表した。

同アプリケーションは、物流の最適化を初期段階でサプライチェーンに統合し、S&OPプロセスにおいてコンカレントプランニング(同時並列計画)の実行を可能とするもの。

この1年、複数の国でロックダウンが施行され、市場のニーズや考え方が全体的に変化するなかでサプライチェーン業界は新しい大きな課題に直面。昨今のサプライチェーンでは、物流の重要性がますます高まり、多くの業界の顧客にとって、プロセスの効率化、全体のコスト、販売の成功に強い影響を与えるものとなっている。

実際、物流はエンド・ツー・エンドのサプライチェーン全体の中で大きな割合を占めている。業界にもよるが、物流コストは倉庫コストに対して30~60%程度になる。半導体の供給不足、異常気象、コンテナの空き状況、パイプラインへのサイバー攻撃による燃料不足、国境閉鎖、パンデミック下でのロックダウンによる制限等、企業はサプライチェーン全体に影響する世界規模の前例のない課題に直面している。こうしたなか、物流全体が、需要の大幅な増加、燃料費の高騰、輸送能力の低下、輸送時間の延長や遅延等の問題によって影響を受けている。

このため、企業は従来以上に、サプライチェーンのプランニングやS&OPプロセスに物流の最適化を組み込む必要がある。材料の供給力を確保し、出荷の利用率を高め、最終的にサプライチェーン上の必要な出荷回数を削減するための適切なツールを保有することは、事業の収益性を担保する上で非常に重要。S&OPプロセスの初期段階で物流上の制約を考慮することで、企業はより効率的な結果を出し、コストを削減するほか、CO2排出量を削減することができる。

4flow社のKinaxis Transportation Load OptimizerというRapidResponseの新しいアプリケーションは、効率性を高め、輸送コストやCO2排出量を大幅に削減し、より持続可能な社会を実現するために設計されている。

Transportation Load Optimizerを利用することで、コンカレントプランニングに物流と積荷構築の最適化の視点を取り入れることが可能。これにより企業は物流の制約を考慮しながらKinaxisのソリューションを利用することで、より早くサプライチェーンの状態を把握し、より迅速に次の一手を打つ行動をとることができる。

従来のS&OPシステムはおおよその稼働率を向上させるだけだったが、Transportation Load Optimizerは、需要変化をグループ化することでトータルの輸送コストを最小化。輸送ニーズを最適化したり、輸送会社の運賃等の変数を考慮して輸送コストを表示したりすることで、輸送コストとCO2排出量の削減を可能にする。

状況に応じて出荷を前倒しあるいは後ろ倒しにすることで、受入れ確定量を集約し、より完全で効率的な積荷構築を実現することが可能。適用される最適化アルゴリズムは輸送コストや実際の輸送能力等の現実の制約条件に基づいているため、実用的なプランニング結果が取得できる。さらに、納入指示計画(コールオフ)を作成する際の手作業の必要性の軽減も可能にする。

これは、サプライチェーン管理システムに蓄積された生産・販売、在庫管理等の各情報を連携・集約し、需給計画に関する意思決定の速度を高めることでサプライチェーン全体の最適化を図る手法。サプライチェーンマネージメント(SCM)ではモノ(台数・量等)への視点を重視するのに対し、S&OPでは企業収益(金額)の観点から、サプライチェーン計画を評価するもの。サプライチェーンのグローバル化に伴い、為替変動リスクや輸送コストの高騰等、外部環境がコストに与える影響度合いが強まってきたため、収益性の観点から需給計画を精査することが求められている。

キナクシスのRapidResponseは、サプライチェーンのデジタル基盤の連携を通じて、データの集約と迅速な計画立案を支えることで、S&OPの実現を支援する。

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