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小売業者の6割以上がコロナ禍でテクノロジー投資加速

2021/09/07

ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションは9月7日、第13回「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果を発表した。

同調査は買い物客、小売店従業員、小売業界幹部の意識や行動を分析し、店頭およびオンラインにおける購買行動に影響を与える店舗やテクノロジーの動向に焦点を当てた唯一の調査。13回目を迎えた今回は新型コロナウイルスの世界的流行下で実施された初めての調査となり、買い物客と小売業者双方の意識と行動に明確な変化が見られた。

まず調査では買い物客が実店舗とオンラインでシームレスなショッピング体験を求めていることが明らかになった。具体的には、希望する商品在庫がある場合はオンラインで注文するケースが増加。約60%がオンライン注文を活用しており、eコマースの注文が急増する結果となった。また、買い物客の5人に1人以上がオンラインで購入した商品を返品しており、従業員の57%がこのような返品を大きな課題であると回答している。商品の品切れは依然として解決しておらず、41%が何も買わずに店を出る最大の理由として挙げた。以下、長いレジの行列(32%)、商品が見つからない(31%)と続き、いずれも昨年より大幅に上昇している。

●第13回小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査概要
調査企画:ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション
調査期間:2020年8月~9月
調査実施:Azure Knowledge Corporation(米調査会社)
調査対象:買い物客4,175人、小売店従業員577人、小売業界幹部412人
調査方法:聞き取り調査
調査地域:北米、中南米、アジア太平洋(日本含む)、欧州、中東

・モバイルオーダーの増加
コロナ禍において買い物客がモバイルオーダーやスマートレジのソリューションを活用し、親和性を高めていることを受け、小売業界幹部と小売店従業員は利便性や効率化に対するニーズの拡大を認識している。スマートフォンやタブレットからのモバイルオーダーは利用が急拡大しており、ソーシャルディスタンスを保ち、地域のガイドラインを遵守する上で重要な役割を果たしている。モバイルオーダーを利用する買い物客は72%で、このうち今後も利用を継続するだろうとの回答は82%に達した。主なユーザー層はミレニアル世代(※1)88%、X世代(※2)79%だが、ベビーブーム世代(※3)も47%が活用しており、そのうち74%が今後も利用を続けるとの見通しを示しています。より多くの店舗がモバイルオーダーに対応すべきと考える買い物客は64%で、モバイルオーダーが買い物客の期待に応えるのに役立つとの回答は小売業界幹部の90%、従業員の83%を占めた。

※1:ミレニアル世代:24~39歳
※2:X世代:40~54歳
※3:ベビーブーム世代:55~65歳以上

・スマートレジ導入でより良い体験を
調査対象の買い物客のうち、セルフレジ使用経験者の割合は47%で、63%がセルフレジのソリューションが顧客体験の向上に役立つと考えている。過去1年間に同ソリューションによって顧客体験が向上したと感じているのはミレニアル世代が73%で最も高く、X世代は66%、ベビーブーム世代は50%だった。また、小売業界幹部の86%、従業員の72%がセルフレジによって顧客体験が向上すると回答。業界幹部の10人中9人、従業員の10人中7人がセルフレジを導入することで従業員がより重要な仕事に専念できるようになり、顧客へのサービスが向上するとともに、安全衛生上の義務や規定を満たすことができると考えている。

・店舗内でのショッピング体験に安全性を
予防措置や安全対策を講じることで、消費者と従業員の信頼を高めることができる。しかし、健康と安全に関しては業界幹部、買い物客、従業員の間で信頼度に大きな隔たりがある。安全衛生を優先しているとして、買い物客や従業員の信頼を得ていると回答した幹部は約90%を占める一方で、これに同意する買い物客は65%、従業員は77%となった。店内の衛生状態や他人との接触を気にする買い物客は67%で、非接触型の支払い方法がある小売店を好むとの回答は59%だった。また、10人中7人の従業員はソーシャルディスタンス/接触を追跡するアプリがあれば、より良い顧客体験を提供できると答えている。

●主な調査結果
・10人中6人の小売経営者がパンデミックによりテクノロジーへの支出計画が加速したと回答。
・店舗およびオンラインでの全体的な顧客満足度はそれぞれ76%(前年比6ポイント減)、73%(前年比5ポイント減)となり、小売業界はショッピング体験を向上させるテクノロジー活用が求められている。
・実際、小売経営者は2025年までに「Workforce管理ソフトウェア」「スマートレジ」「プリスクリプティブ(処方的)アナリティクス」(※4)に投資を予定している。
・小売業者の86%(前年比7ポイント増)がサプライチェーンと業務のあらゆる側面でデジタルインテリジェンスを統合している。

※4:プリスクリプティブ(処方的)アナリティクス:データを基に次に採るべき最適なアクションを導き出す分析手法

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