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植物工場のイチゴ輸送でサトーのRFID温度管理導入

2021/07/15

(株)サトーと沖縄セルラー電話(株)、(株)KDDI総合研究所は7月15日、沖縄セルラーが栽培・販売する沖縄のブランド苺「美ら島ベリー」の輸送の全過程で、RFID温度ロガータグ(ラベル)を用いて精緻に温度を管理するシステムを開発し、2021年6月から本格的に運用を開始したことを明かにした。

美ら島ベリーは沖縄セルラーがICTを活用した完全密閉型植物工場で栽培し、出荷する沖縄の特産品。今回のシステムでは、サトーが開発したRFID温度ロガータグ「LogBiz-Thermo」を出荷箱に添付し、出荷から納品まで5分ごとに、2週間分の温度履歴をLogBizに記録する。運用するLogBizは全体で約1,000個。温度データは生産者や物流業者の入荷時及び出荷時にスマートフォンの操作でクラウド上の温度推移管理システムにアップロードされる。閾値を超えた場合には、システムのオペレータに警告が表示される。

同システムによって、美ら島ベリーの輸送過程まで含めた品質保証が可能になり、ブランド維持や消費者への安心感の提供が可能になる。開発においては、サトーがLogBizの提供およびクラウド上の温度履歴管理システムの開発、スマートフォン用のアプリケーションの開発を担当。KDDI総合研究所は輸送中の温度変化による品質劣化に関する解析を担当した。今後は、温度変化による品質劣化を警告するシステム開発を予定している。
 
●システム概要 
(1)生産者が美ら島ベリーを出荷する際に、LogBizを出荷箱に貼付。スマートフォンを操作し、温度記録を開始(この時点から自動的に5分ごとに温度を記録する)。スマートフォンのNFC通信機能でクラウド上の温度推移管理システムに温度データを送信。

(2)輸送業者が商品を入荷する際にスマートフォンを操作。スマートフォンの NFC 通信機能でクラウド上の温度推移管理システムに、その時点のスマートフォンの位置情報とそれまでの温度履歴データを送信。

(3)輸送業者が商品を出荷時にスマートフォンを操作。スマートフォンの NFC 通信機能でクラウド上の温度推移管理システムに、その時点のスマートフォンの位置情報とそれまでの温度履歴データを送信。

(4)閾値を設定し、温度推移をスマートフォンおよびクラウドシステムのダッシュボードで監視。適切なルート、時間、温度で輸送されているか、輸送品質を管理。

●各社の役割
サトー
・LogBiz の提供
・クラウド上の温度履歴管理システムの開発・運用
・スマートフォン用のアプリケーションの開発・運用

沖縄セルラー
・品質管理トレース・システムおよびアプリケーションのUIの検討
・美ら島ベリーの輸送における温度履歴管理システムの利用

KDDI総合研究所
・品質管理トレース・システムの仕様の検討
・輸送中の温度変化と美ら島ベリーの品質劣化に関する解析
※今後、KDDI総合研究所の解析結果をもとに、温度変化による品質劣化の可能性が高いことを自動で警告する機能を追加する予定。

●RFID温度ロガータグ「LogBiz-Thermo」 
RFIDタグとバッテリー駆動の温度ロガーを1枚のRFIDラベルに加工し、食品や化学製品、医療品等の輸送・保管中の温度変化による品質劣化を防止する商品。

(1)記録を開始すると一定の間隔で温度データを取得し続け、そのデータをタグ内に記録する。記録回数は最大4,864回。食品管理で標準的に使用される測定間隔である15分の場合は、50日16時間(2か月弱)の記録が可能。測定間隔はカスタマイズでき、最大約18時間、最小1分。

(2)スマートフォンのNFCリーダー機能を使って温度データを読み取るため、専用のリーダーが不要。※スマートフォン用の読取りアプリは無償提供。

(3)スマートフォンの通信機能で温度データをクラウド・サーバーに送信する。送信したデータはスマートフォンでもPCでも閲覧可能。

(4)スマートフォンで読取り操作を行った際のGPS機能による位置情報も記録可能。

(5)使い捨て出来る価格帯のため、バッテリー消耗後はRFIDラベルごと新しい商品に取り換えることが容易。従来の使いまわすタイプの温度ロガーと比べて校正費用の大幅な低減が可能。

●美ら島ベリーとLogBiz(上)、RFID温度管理システム概要(下)

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