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横須賀市の実証実験で不在配送を約2割削減

2021/03/29

(株)JDSCと佐川急便(株)、東京大学大学院の越塚登研究室・田中謙司研究室、横須賀市、グリッドデータバンク・ラボ有限責任事業組合(GDBL)は3月26日、2020年10月~12月に5者共同で横須賀市150世帯の協力を得て取り組んだ、世界初の「AIと電力データを用いた不在配送問題の解消」に関するフィールド実証実験で、約20%の不在配送の減少を確認できたと発表した。

●これまでの背景
JDSCはAIを用いた電力データ解析・活用技術を保有(特許取得)し、東大越塚研究室、田中研究室との連携のもと、スマートメーターから得られる電力データをもとにAIが配送ルートを示すシステムを開発。2018年9月~10月に東京大学内で行われた配送試験で、不在配送を9割減少させた。2019年9月に同システムを用い、佐川急便の持つ配送実績データでシミュレーションした結果、不在配送の削減および総配送時間の短縮等一定の効果が確認されたことにより、2019年10月に3者共同研究開発へと至った。

2020年7月、電力データ活用による不在配送解消の社会実装を見据え、横須賀市とGDBLが参画、5者共同で2020年10月~12月の間、横須賀市内でBルート(スマートメーターのデータを家庭用HEMS機器等で直接受信する方式)を用いたフィールド実証を実施。同実証は2018年に行われた東京大学キャンパス内での学術目的の配送実験とは異なり、実際の配送会社、配送手段、実際の受け取り手である市民の協力と参画により行われた。

●2020年10月~12月の横須賀市フィールド実証実験の結果
電力データを活用した在宅判定アルゴリズムで、在宅予測・判定を行い、実際に配送を行った結果、不在率を約20%改善できた。その際、その地域の担当ドライバー、代走ドライバー、新人ドライバー等、様々なドライバーで配送を行ったが、これら不在率の削減効果はドライバー間での差は見られず、どのようなドライバーでも同様の結果が出せることが確認できた。

また、この削減幅は「終日不在であっても、配送拠点に荷物が到着した日には必ず訪問し、不在票を残す」というルールを変えず、現実に則した運用を行っても実現できたもの。一方で、総走行距離と稼働時間は、「最短距離ルート」ではなく「不在宅を回避したルート」をとる形になるため、増加傾向にあった。今後の改善点として、2021年内に再度実証実験を行い、走行距離・稼働時間を同等レベルに抑えた形で不在率の削減を目指す予定。

●不在配送ゼロ化AIプロジェクト
https://jdsc.ai/service/zero-redelivery/

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