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物流デジタル化が進み、倉庫内物流テック市場は伸長

2021/01/26

(株)矢野経済研究所は1月25日、物流テック市場に関する調査で物流の「デジタル化」が進み、倉庫内物流テック市場が伸長するとの予測を発表した。

社会インフラを支える物流業界では、労働集約的産業であるが故に人手不足が他業界より深刻であり、「省人化」をキーワードとした物流テックの導入に注目が集まっている。物流テックの導入には、作業効率を高め、省人化に寄与するといったメリットだけではなく、今まで紙などアナログで管理していたものをデジタル化することにより、物流をデータ化できるといった側面もある。その一方で、「開発・導入コストが高い」、「システムを導入しても、社内に管理できるIT人材がいない」といった課題から、物流テックを導入する物流事業者は投資力があり、自社やグループ企業に専門のIT部門・人材を抱えている大手事業者に限られていた。

しかし、近年は状況が変わりつつあり、「初期投資が少ない月額料金制のサービスの登場」、「内部のIT人材不足=外部サービスのサポート体制の充実」が進み、中堅物流事業者にも物流テックサービスの導入が進んできている。

そこでクラウド型のサービス、音声認識やAI、RFID等のシステムを提供する倉庫内の物流テックサービスについて、
(1)導入難易度
(2)適正倉庫規模
(3)コロナ禍における動向
(4)投資金額規模
の4点について、矢野経済研究所で評価を行った。なお、(3)コロナ禍における動向は2020年4月~12月の物流テック事業者における引き合い状況の変化を参考に評価を行い、横ばい傾向だと思われるものは△としたが、長期的に見ると伸長することが見込まれるため、この部分での差は小さいとみている。

「アーリー市場」に分類した入出庫や在庫を管理するクラウド型WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)、トラックの入出庫を管理するバース予約/受付システム、作業員の出退勤・作業内容を管理する作業の可視化/業務日報のデジタル化ツール、各種作業を支援する音声認識システムは、2015年前後から導入件数が伸長。2020年は新型コロナウイルスの影響により、デジタル化に対する機運が高まり、導入難易度も比較的低いことから好調に推移している。そして、「シード市場」に分類したAI分野、RFIDの活用については検品や棚卸し、ピッキング作業等で現在多くの実証実験が進められており、物流現場への本稼働に向けて2021年は動き出していくことを予測している。

●調査要綱
調査期間:2020年10月~12月
調査対象:物流システムおよびサービス提供事業者
調査方法:矢野経済研究所専門研究員による直接面接取材、ならびに文献調査併用
発刊日:2020年12月25日

●物流テック市場
物流テックとは、クラウドや音声認識、AI、RFID(radio frequency identifier)等最新技術を用いた物流に関するシステム・サービス分野を指す。今回の調査における物流テック市場とは、そのうち倉庫内に関わるソフトウェア市場、クラウド型WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)、バース予約/受付システム等を対象とした。さらに展開が始まり、ある程度プレイヤーが定まってきた市場を「アーリー市場」、今後さらなる新規プレイヤーや新たな展開が予測される市場を「シード市場」と分類している。

●参考情報
「物流ロボティクス市場に関する調査を実施(2020年)」2020年9月14日発表
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2526

●物流テック市場の定義(上)、倉庫内物流テック市場の分野別評価(下)

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