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損保ジャパン、キヤノン・日通と事故防止で実証開始

2020/12/02

損害保険ジャパン(株)は12月1日、キヤノン(株)および日本通運(株)とともに、物流現場での様々な事故防止を目的として、映像解析技術(※1)を活用した新ソリューションサービスの検証を2020年10月から開始したことを明らかにした。

※1:映像が持つデータを可視化し、マーケティングやサービスの向上等、様々な用途に活用可能な技術。

Eコマース市場の拡大等を背景に、物流業界ではロボットによるピッキング作業の自動化やドローン配達等のDXが進展し、倉庫管理が高度化していく一方で、物流現場では人が介在せざるを得ない作業が多く存在し、フォークリフトの運転もその1つになる。フォークリフトの事故は物的損害だけでなく、万が一、人と接触した場合には大事故となる可能性が高く、労働災害や事業中断につながることから、事故防止は物流事業者の大きな課題となっている。

ネットワークカメラ(※2)や映像解析技術は近年飛躍的な進歩を遂げ、事故を未然に防ぐ抑止力としての役割が期待され、そうした技術を活用した防災・減災ソリューションへのニーズも高まると考えられる。今回、防災・減災のノウハウを有する損保ジャパンを中核とするSPMPOグループと、ネットワークカメラと映像解析技術を持つキヤノングループ、国内最大手の総合物流事業者の日本通運の3者が、金融機関とメーカー、物流事業者という業態を超えて物流現場のユーザビリティを考慮した高品質かつ高性能な新たなサービスを検証するため、共同実証実験を開始した。

※2:撮影した動画を圧縮し、ネットワークを介してコンピューターに配信するカメラ。

●実証実験の概要
(1)実証実験の目的と内容
事前に事故の懸念がある車両の動きを類型化し、危険挙動の定義づけを行う。危険挙動の類型は
「一時不停止」、「速度超過」、「逆走や右左折禁止等の通行区分違反」等を想定している。実証実験では、日本通運の倉庫にネットワークカメラを複数台設置し、実際のフォークリフトや作業者の物流オペレーションをネットワークカメラで撮影し映像を解析・集積する。また、定義づけた危険挙動の発生事実が検出可能かを検証する。

(2)実証実験における各社の役割
・損保ジャパン:全体総括、事故データをベースとしたリスクシナリオの検討
・キヤノン:ネットワークカメラや映像解析技術の提供
・日本通運:物流事業者が抱える課題・ユーザビリティの検証
・SOMPOリスクマネジメント:ソリューションサービスの販売モデルの構築検討、リスクマネジメント実績に基づく分析・ノウハウの提供

●開発を検討するサービス
(1)事故防止サービス
損保ジャパンとSOMPOリスクマネジメントは、実証実験を通して得た実際の危険挙動映像をベースに、安全教育教材の作成を検討。また、既存の車載器(ドライブレコーダー等)から得られるデータと合わせて、より効果的な事故防止プログラムを日本通運と共同で開発することを目指す。将来的には実証実験で定義した危険挙動に該当する車両の動きを映像から検出し、管理者にリアルタイムでアラートが発信されるサービスの開発を目指す。

(2)業務品質の改善サービス
ネットワークカメラや映像解析技術は安心・安全分野だけに留まらず、「情報の可視化機能」で物流事業者の業務品質の向上にも活用できると考えられる。具体的には作業員の動線分析による倉庫内の最適な作業動線の提案や、荷物ラベルや製品番号の読み取り自動化等によるオペレーションの効率化等が挙げられる。今後はこれらを含む物流事業者向けサービスの検証も視野に入れていく。

●今後について
物流現場における防災・減災を目的とした「安心・安全」のための新たなソリューションサービスの検証のみならず、SOMPOグループが持つ幅広い業種との接点とキヤノングループが持つ高度なネットワークカメラと映像解析技術をベースに、各社の特性とリソースを活用して、さらに広範囲の分野のソリューション検証も視野に入れ、様々な社会課題を解決することを目指す。

●実験の概念図

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