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AGILOX、自律型フォークリフトを開発

2020/09/18

AGILOXは、群知能で誘導する特徴を持つIGV(インテリジェント搬送車)の製品ラインナップを拡充し、新しい自律型の「OCF(Omnidirectional Counterbalanced Forklift:カンターバランス式全方位走行フォークリフト)」を発表した。同社は今回の新製品の投入で、保管庫や倉庫の入出庫などのイントラロジスティクスという新たな応用分野へ参入する。

同社の超軽量・高効率フォークリフト製品シリーズ「ONE」はAGV(無人搬送車)の概念を一新し、全車両を集中制御システムなしに運用可能で、自律的に生産現場や倉庫内を自在に走行することが可能。群知能による分散型の制御原理に従って自らの経路を計画することで、従来のAGVよりもはるかに高い柔軟性を実現するほか、車両のプログラミングやティーチングも大幅に容易となり、保守やアップデート等を含めて集中制御用ソフトウェアによるプログラムは不要になる。これらは運用コストを削減する革新的なポイントとなる。同社はこうした自律的なAGVをIGV(インテリジェント搬送車)と位置付けている。

これまでの「ONE」が荷物の持ち上げ装置としてシザーリフトを装備している(そのため、車両外形に収まる荷物を搬送する)のに対し、「OCF」はカウンターバランス式フォークリフトのスタイルに設計されている。したがって、平パレットやメッシュパレット等、最大重量1,500kgの荷役台を持ち上げ、指定場所まで搬送可能。また、荷物は最高1,600mmまで揚高することができる。

その結果、AGILOXのスマートで低コストなIGVコンセプトに新たな応用分野が広がる。「ONE」車両が主に生産現場での材料供給に用いるのに対し、「OCF」はパレットベースの搬送が可能なため、生産現場での活用はもとより、荷物の積み下ろしやオーダーピッキング、倉庫内業務など従来のイントラロジスティクス作業も可能。「OCF」も「ONE」と同様に全方位駆動コンセプトを採用しているため、狭い通路を横移動してある位置で方向転換する等、最小限のスペースを巧みに活用できる。また、同じリチウムイオン(LiFePO4)バッテリー技術を用いて、短い充電時間による長時間な稼働を保証している。わずか3分の充電で最長1時間の動作が可能。

一方、同IGV車両群は、オープンAPIインターフェースを介して、顧客のソフトウェアシステム(LVRやERP、WMS、MES等)に接続できるほか、オプションのI/Oボックスを使えばその高度な制御システムによりシャッターや据付のコンベアシステムといった他のインフラとのインテグレーションも可能。また、解析モジュールは関連するすべての稼働データやKPI情報をユーザーに提供する。

さらに群知能をもとに「ONE」と「OCF」を組み合わせて運用すると、さらに大きなメリットが生まれる。例えば、小型の「ONE」が組立ステーションへの部品供給作業や電子カンバン式部品棚への対応を行う一方で、同じ制御システムとWiFi設備を用いて大型の「OCF」がパレット搬送を担うことができる。

「OCF」の試作機は同社のオーストリア・フォルヒドルフ工場におけるテストで優れた結果を収めており、間もなく量産を開始。2021年の第1四半期には顧客への納入を予定している。

●AGILOX
AGILOXは急成長を遂げている革新的な企業で、群知能を用いて倉庫や工場内を賢くナビゲートして、パレットや通い箱を必要な場所に届けるというインテリジェントな物流ロボット(AGVやAGC、AMR)を開発製造している。本社をオーストリアに構えるAGILOXは2009年にエンジニアグループが設立。現在も成長を続けており、米国アトランタなどをはじめとして全世界15か所に営業所を置く。
機械設計から電気設計、ナビゲーション等関連ソフトウェアまですべてを社内で開発しており、そのため仕様の変更や顧客の要望に応じたカスタマイズにも素早く応えられる体制となっている。
https://www.agilox.net

●「OCF」

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