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ユーエイ、「ユーエイ・ツナガル・システム」提供開始

2020/09/18

(株)ユーエイは9月16日、誰でも簡単にIoT環境の構築が可能な統合型センサネットワークシステム「ユーエイ・ツナガル・システム」を開発し、10月より提供を開始すると発表した。

同システムは、IoT環境の構築に必要な下記3つのソリューションをワンストップで提供する統合型ネットワークシステム。
(1)データを取る「各種IoTセンサノード」
(2)データを集める 「IoTゲートウェイ」
(3)データを活用する「可視化・分析アプリのクラウドサービス/MotionBoardクラウド連携」

ユーエイは無線通信規格「EnOcean」を使った「IoTゲートウェイ」の開発を、情報・セキュリティ機器事業を手がけるあいホールディングス(株)の子会社ウイングレット・システムズ(株)へ委託。「IoT ゲートウェイ」はARMプロセッサ搭載・Linux対応の組み込みCPU ボード「Spiral」をベースに「EnOcean」の各種センサプロファイルをプリインストールしたもので、無線LANや有線LANを通じてインターネットに接続できる。また、「IoTゲートウェイ」に収集するセンサデータを可視化・分析するための上位システムはウイングアーク1st(株)の表示アプリケーション「MotionBoardクラウド」と連携している。

一方、ユーエイは同システムの中で、主力製品である産業用キャスターに自己発電技術を搭載し、電池レスのセンサノードとなる「IoTセンサキャスター」を製品化している。「IoTセンサキャスター」は自転車のライト等でも使われているダイナモ発電と同様に、電磁誘導コイルとマグネットを利用して車輪の回転によって電気を作る。「IoTセンサキャスター」にはホールセンサと加速度センサを内蔵しており、各センサの計測値はEnOcean無線通信を使って「IoTゲートウェイ」へ送信。さらにそのセンシング情報は「IoTゲートウェイ」を経由し、上位システム「Motion Boardクラウド」に連携することで、「IoTセンサキャスター」の「移動距離」や「移動速度」また路面から伝わる「振動・衝撃」を可視化できる。また、オプションの「IoTブリッジ(近日発売予定)」を追加することで、BLEビーコン機能を備えた「IoTセンサキャスター」の測位を可能にするマルチホップ対応メッシュネットワークを構築できる。

同システムの特長は、「IoTセンサキャスター」をはじめ、各種EnOceanセンサノードに「エナジーハーベスティング」と呼ばれる自己発電技術(バッテリ不要の無線通信)を採用している点にある。IoT化においては様々なセンサノードが活用されているが、ノードの電池交換は多くの手間をとられ、電源工事を必要とする場合のコスト負担はIoT導入の障壁とも言える課題となっている。

そこで同システムでは、バッテリ(電池)を使わずに自己発電する電力を使ってセンサのデータを送信することができるEnOceanセンサノードを活用し、電池不要のIoTを広めることで、さらにIoT化の需要拡大を加速できると考えている。同社は新開発した「IoTセンサキャスター」の場合、車輪の回転によって発生する電力は非常に小さく、また回転が発生したタイミングでしかパケットが飛ばないという制約があるものの、キャスターを使った運搬機器の動きを測るという点では必要十分な電力供給仕様となっている。「IoTセンサキャスター」のほか、同システムに適用するEnOceanセンサノードとして、温度・湿度センサ、CO2センサ、照度センサ、電流センサ、人感センサ、在席センサ、開閉センサ、ON・OFFスイッチ、制御リレー等をラインアップしている。

これら各種センサノードはEnOceanアライアンスが制定した周波数帯域1GHz以下のEnOcean無線規格(ISO/IEC14543-3-1X)に基づいている。同規格は信頼度が高く、見通しがきかない室内環境下でも約30mの通信が可能で、欧州を中心にビルオートメーション等に広く活用されている。

同システムの主な用途としてはスマート工場や物流施設を想定しており、「運搬機器の移動位置を知りたい」、「リアルタイムで使用状況をモニタリングしたい」、「使用頻度や動線を調査したい」等、運搬機器の稼働状況を把握することで業務効率の向上を図り、顧客の困りごとを解決する狙い。

●販売価格帯、販売目標:IoTゲートウェイ想定市場価格15万円(税抜)前後

●システム年間販売目標金額:1億5,000万円

●発売予定日:2020年10月20日~サービス提供開始予定

「ユーエイ・ツナガル・システム」概要(上)、「IoTセンサキャスター」(下)

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