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佐川、SIP「スマート物流サービス」の研究開発受託

2020/06/22

佐川急便(株)、Kyoto Robotics(株)、学校法人早稲田大学、フューチャーアーキテクト(株)は6月22日、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム」(SIP)の「スマート物流サービス」で、「荷物データを自動収集できる自動荷降ろし技術」に関する研究開発を受託し、2019年12月より共同研究を実施していると発表した。

今回の研究では、荷物の基礎情報(サイズ・重量・外装・荷札情報等)、荷降ろし場所や荷降ろし時間といった情報を自動取得するほか、荷降ろし作業を自動化する技術の確立と社会実装を目指す。

本研究で自動収集される情報は「スマート物流サービス」で構築する物流データベースの基礎情報となるもの。本研究はトラックコンテナに積み込まれた荷物の荷降ろし工程を対象に行うが、ここで創出される技術は海上コンテナや荷積み工程にも転用可能であり、本研究成果を物流業界に広く還元することで、複数の事業者での商流・物流データの共有・活用によるサプライチェーン全体の効率性・生産性の向上の実現に大きく貢献することが期待される。

●研究状況
現在製品化されているロボットによる自動荷降ろしシステムは、下記3つの課題を解決できていないため、普及に至っていない。

課題1:事前登録されたサイズや模様の荷物しか取り扱うことができない。
課題2:事前登録された積み付け方以外取り扱いができない。
課題3:パレットやカゴ車、コンテナへの直積み等様々な積み付け形態に対応できない。(汎用的ではない)

上記の課題を解決すべく、2019年12月よりリアルタイムに荷物を認識するセンシング技術の研究を進めている。2020年3月10日時点で、パレットに無作為に積まれた段ボールの画像データ約2万枚に対して認識成功率98%を達成している。現在、デバンニングロボットへの適用を意図したさらなる改良を進めており、2020年8月末までに認識成功率99.9%を達成し、Kyoto Roboticsが所有するロボット設備環境下で事前登録されていない様々なサイズ、模様の荷物が無作為に積まれたパレットからの自動荷降ろしシステムの開発を目指す。

●社会実装に向けた取り組み
早稲田大学総合研究機構システム競争力研究所は、経済活動・国民生活を支えるインフラとして不可欠な機能である物流につき、広く社会への啓蒙および学際としての専門的な研究を推進することを目的とし、システム競争力研究所内に学会設立を企図して「スマート物流の研究推進」準備室(研究所部会)を発足させる。また、「スマート物流サービス」が、物流システムのスマート化、緊急事態における物流の最適化を含む課題に応えるものであり、さらには働き方やそこで求められる働く力、あるいは高齢化社会に見られるような新しい社会の在り方に関わるものであることから、既存の学会とのコラボレーションも同様に重要であると考えている。その第一歩として「しごと能力研究学会」部会でのプロジェクト活動報告と意見交換を計画しており、研究活動のコラボレーションを進めてゆく予定。

本研究の状況については各共同研究機関、および管理法人との協議の上適宜適切に公開していく。

●受託概要
研究テーマ:「荷物データを自動収集できる自動荷降ろし技術」の研究開発
研究期間:2019年12月2日~2023年3月31日
研究費用:3.5億円
参考:「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第2期スマート物流サービス」について
https://www.pari.go.jp/sip/about/about.html

サプライチェーン全体の生産性・効率性の向上に取り組む内閣府プログラム「SIPスマート物流サービス」を取りまとめる田中従雅PD(プログラムディレクター)からのメッセージ
Eコマースの拡大やドライバー不足等から「物流クライシス」が叫ばれている今、製造・物流・販売等の事業者が連携して「物流・商流データ基盤」を構築し、モノの動きや商品情報を総合的に扱うことによって、サプライチェーン全体の生産性、効率性を向上することが期待されている。「SIPスマート物流サービス」はこの期待に応えるべく取り組んでおり、今回、その一翼を担っていただくため、本プロジェクトを選定した。

●リアルタイムに荷物を認識するセンシング技術の検証成果

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