[最新ニュース] IT・マテハン

製造業・金融業を中心にDX増加基調

2019/11/28

(株)矢野経済研究所は11月27日、2019年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)が前年度比3.4%増の12兆9,180億円と予測していると発表した。 

同社では、2018年度が前年度比2.8%増の12兆4,930億円と推計。2020年度は同1.6%増の13兆1,240億円、2021年度は同1.5%増の13兆3,200億円で推移すると見ている。

2018年度はワークスタイル変革に関する取り組みが引き続き堅調に推移したほか、民間企業の収益力の高まり等から大規模システムの更改も目立った。また、2020年1月に予定されているWindows7のサポート終了に向けたWindows10への買い替え需要も旺盛。こうした流れは2019年度も続くと予測している。

法人を対象としたアンケート調査では、毎年、今後3年間でIT投資が増加するソフトウェアについて尋ね、回答を得ている。2019年調査(回答社数482社、最大3つまで複数選択可能)では「ERP(基幹業務統合管理)」が41.9%で8年ぶりにトップに立ち、これまでトップだった「セキュリティ関連ソフトウェア」と同率1位となった。ERPがトップになった背景には、経営環境の変化にあわせて基幹システムを更新する動きが進んでいることや、ERPパッケージのクラウド化が進んでいること、SAPのERP保守サポート期限が2025年に迫っていることなどがあると同社では見ている。

近年は、製造業などの企業でグローバル競争力を強化する機運が高まっており、これをデジタルで支援するビジネス(DX:デジタルトランスフォーメーション)に対するIT投資案件等も増加基調にある。また、市場を牽引してきた金融業についても、基幹システム更新等の大型案件が落ち着いたことで大きな伸びは期待できないとも思われたが、参画するプレイヤーが多様化し、ITを活用したサービス(FinTech)を展開する企業が拡大基調にあり、IT投資は順調。

一方、2020年度以降の国内民間企業のIT市場規模は同年度から商用サービスの提供が始まる第5世代移動通信システム(5G)関連の投資を期待できるが、近年の市場の伸びの反動を受け、その成長は緩やかになる見通し。

●調査要綱
調査期間:2019年7月~10月
調査対象:国内の企業、公的団体、機関等
調査方法:民間企業および公的団体・機関等に対する記名式郵送アンケートおよび文献調査併用
 
<国内民間企業のIT投資市場規模>
本調査では国内民間企業のIT投資市場規模について、経済産業省および総務省の調査をもとに同社の民間企業に対するIT投資に関するアンケート調査結果(※)を加味し、国内民間企業のIT投資額ベースで算出した。
(※)アンケート調査
期間:2019年7月~9月
調査対象:国内民間企業および公的機関・団体543件
調査方法:郵送によるアンケート調査
<市場に含まれる商品・サービス>
国内民間企業のIT投資(ハードウェア、スクラッチ開発とパッケージ導入<カスタマイズを含む>等のソフトウェア、保守関連や運用管理・アウトソーシング等のサービス、ASP・クラウド等のオンライン・サービス、回線利用料、その他コンサルティングなど)

|↑一覧に戻る|