[最新ニュース] IT・マテハン

圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器の技術基準制定

2019/10/28

(一財)日本自動車研究所(JARI)は10月25日、「圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器の技術基準JARI S 003(2018)」を制定したと発表した。

同基準は最高充填圧力を35MPaとする圧縮水素用金属製容器の技術基準で、主にフォークリフト等の燃料電池産業車両への搭載が期待され、それらの普及・拡大により、水素社会のさらなる発展に貢献する。 

水素の最高充填圧力が35MPaである燃料電池式フォークリフト用容器に適用可能な技術基準としては、「圧縮水素自動車燃料装置用容器の技術基準JARI S 001(2004)」があり、高圧ガス保安法の下で例示基準化されているものの、対象容器は自動車に適し、軽量化を目的とした繊維強化プラスチック複合容器(Type3容器、Type4容器)となる。

一方、車体の安定性が求められるフォークリフト等の産業車両では、重量がある金属製容器が望まれるものの、従来はその技術基準が存在していなかったという。

こうした状況を踏まえ、産業競争力強化法(平成25年法律第98号)に基づく企業実証特例制度を利用した特例措置に基づき、2014年度から約4年間、(株)豊田自動織機により燃料電池式フォークリフトに金属製容器(圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器)を搭載し、実証試験が行われてきた。

その結果を踏まえ、35MPa圧縮水素用金属製容器の一般化のため、JARIが経済産業省「平成30年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(水素燃料電池式産業用フォークリフト用容器に係る技術基準等に関する調査研究)」を受託。豊田自動織機からの容器実証データの提供および協力を得て、圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器の製造方法や容器検査方法について審議を行い、 「圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器の技術基準JARI S 003(2018)」の策定を行った。
 
JARI S 003は、水素の最高充填圧力が35MPa の圧縮水素自動車燃料装置用継目なし容器(Type1容器)の技術的要求内容について、できる限り具体的に示すもの。Type1容器は主に低合金鋼(Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼等)で製作されるが、低合金鋼は水素の影響による材料強度の低下に注意する必要がある。このため、本技術基準では、材料・強度範囲・熱処理条件等を、水素の影響を最小限に抑えて安全に使用できる範囲に限定しており、具体的な材料としては、SCM435とSNCM439の強度低減材(引張強さ900MPa以下)に限定した。また、容器強度を確保する上で求められる各設計要件に公式による設計手法を適用することで、JARI S 001等で採用されている破裂試験や圧力サイクル試験等の強度・耐久性確認試験を行う必要がなく、容器認可取得時の試験費用の削減が見込まれる。

●自動車用35MPa圧縮水素容器の構造による仕様比較(ナンバーなし車両での比較)

|↑一覧に戻る|