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2019年の世界の5Gサービス契約数は850万に

2019/09/11

(株)矢野経済研究所は9月9日、5G(第5世代移動体通信システム)の世界市場調査として、5Gの概要、各国における商用サービスの普及予測、5Gスマートフォンの出荷状況等、5Gの将来展望を発表した。

●市場概況
5Gの国際標準規格策定作業は、4Gと同様、3GPP(Third Generation Partnership Project)およびITU-R(International Telecommunication Union-Radio)を中心に国際標準化団体や国・地域別の業界団体、政府機関、通信事業者、機器メーカー、半導体企業、ソフトウェア企業等、業界全体が一体となって策定された。

2018年に5Gの商用化に向けた仕様「リリース16」が策定され、2019年4月に韓国・米国が世界初の5G商用サービスを開始したのを皮切りに、EU市場の一部などで商用サービスが開始されている。世界最大の携帯電話市場である中国でも5G商用サービスの準備は着々と進められており、2019年秋には商用サービスを開始する計画。2019年の世界の5Gサービス契約数は850万契約になると予測している。また、日本では(株)NTTドコモ、(株)KDDI、ソフトバンク(株)、楽天モバイル(株)の4社に対して5G免許が交付され、2020年春を目途に5G商用サービスの開始が予定されている。

2018年の中国における携帯電話サービス契約数は15億7,500万契約に達し、新規契約数は鈍化傾向にある。中国は4G普及にあたり、インフラ整備に加えて通信事業者間の競争を促す施策を導入することで市場活性化を図り成長を促してきた。さらに中国国内の携帯電話・スマートフォン端末メーカーの育成を図った結果、国際的に製品開発力・コスト競争力に秀でた端末メーカーが多数生まれた。結果的に中国は世界有数のIT産業を有する市場となった。

5Gの導入にあたっても、4Gの成功を踏襲する方針で、政府主導で様々な取り組みが行われている。既存3社の通信事業者に加え新規参入1社を加えた4社に5G免許を交付する方針。また、インフラ整備についても主要都市への設置は既に完了していると言われる。政府主導で積極的な投資と支援が行われているため、5G商用サービス開始後の契約数は垂直的に立ち上がっていき、2021年の中国における5Gサービス契約数は1億契約になると予測している。その後も、中国のサービス契約数は爆発的に増加し、世界市場を牽引していく見通し。

●将来展望
5Gは2019年4月から韓国・米国で商用サービスが開始されている。2021年から順次世界各国の通信事業者による5Gサービスが開始され、普及が進む見通し。4Gで早期に普及が進んだ米国と中国では、5Gについても早期に普及する可能性が高い。

特に中国では5G対応の基地局がすでに40万局設置されているとされており、2019年9月には4社の通信事業者及び端末ベンダに商用ライセンスが発給される見通し。中国のインフラベンダは実績のみならず5G関連の技術的な面において、すでに欧米のメーカーを上回っているとされる。一方、2018年末に米中貿易摩擦の一環で、中国メーカー製の通信機器導入を排除する動きが広まっている。世界各国の市場で中国メーカー製の通信機器を排除した場合のインフラ構築スケジュールに遅延が出る可能性が高い。

また、通信規格別にサービス契約数をみると、現在では4Gが主流となっており、2022年まで契約数の増加が続く見込みである。翌年から4Gは減少に転じ、それ以降は5Gサービスへの移行が進む見通し。2025年の世界の5Gサービス契約数は41億3,400万契約になると予測している。

●5G(第5世代移動体通信システム)主要国別サービス契約数予測

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