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UDトラックス/日通他、大型トラック自動運転実験公開

2019/09/02

UDトラックス(株)、日本通運(株)、ホクレン農業協同組合連合会は8月29日、8月5日から行われているレベル4技術を用いた大型トラックによる自動運転の実証実験を公開した。

同実験はホクレン中斜里製糖工場(斜里郡斜里町字川上111番地)で、砂糖の原料となるてん菜の運搬業務を想定した走行を、5段階の自動運転レベルにおけるレベル4(特定条件下における完全自動運転)技術の自動運転トラックで再現することで、物流の現場で深刻化するドライバー不足の解消に向けたソリューションの1例を提示することを目的に実施された。また、実際の運搬に近い環境を再現するため、国内初となる公道を一部含むルートでの試験走行を実施した。

同日に公開した実証実験には、UDトラックスの酒巻代表取締役社長や開発部門統括責任者のダグラス・ナカノ氏、日本通運の竹津代表取締役副社長、ホクレンの内田代表理事会長、土屋北海道副知事等が列席したほか、経済産業省、国土交通省、農林水産省、自治体、農業関係団体、業界関係者、報道陣等158名が臨席した。

同実験では、UDトラックスの大型トラック「クオン」をベースに開発された車両を使い、RTK-GPS(リアルタイムキネマティック全地球測位システム)や3D-LiDAR、ミリ波レーダ、操舵アクチュエータなどの自動運転技術を駆使し、約1.3kmの運搬ルート(公道、舗装道路、未舗装道路を含む)を時速20kmで自動走行した。

また、今回の実証実験では、悪天候や悪路などにおいてもより高い精度で自己車両の位置を測定するため、ネットワークRTK-GPSを導入。これは4Gで受信するRTK基地局からの補正信号を使って、GPS衛星から得られる位置情報を補正することで、誤差数cmの精度を確保することができる技術で、ネットワークRTK-GPSと自動運転技術を組み合わせることにより、悪天候や高い建物の近く等GPS信号の受信状態が悪い場所でも高精度な自動走行が可能となる。

なお、本実験では警察庁が定めた「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」の規定に基づき、車両にはドライバーが搭乗し、不測の事態に対する有人緊急操縦態勢を確保した上で実施した。さらに独自の安全対策として、公道の使用部分を閉鎖し、公開実験での構内走行に際しては走行ルートと観覧席の間にブロックを敷設する等、万全の安全対策を講じた。

現在、年間約350万tの農畜産物が北海道外に運ばれているが、その7割をホクレンが取り扱っている。ホクレンは第13次中期計画の重点方策として「販売に必要不可欠な安定輸送力の確保」を掲げているが、物流業界の人手不足等で運転手の確保が難しく、農畜産物の物流にも大きく影響を及ぼしているため、今回の実験に参画した。

●実証実験の様子

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