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貨物eVTOL機を用いたラストワンマイル実証実験

2019/08/28

米国テキストロン社傘下のベルとヤマトホールディングス(株)は8月26日、昨年10月12日に両社が発表をした合意内容をもとに、2020年代前半のサービス開始に向けた取り組みの第1弾として米国テキサス州フォートワース郊外で、ベルが開発した「APT 70」(Autonomous Pod Transport 70:自律運航型ポッド輸送機)とヤマトが開発した貨物ユニット「PUPA(Pod Unit for Parcel Air-transportation:荷物空輸ポッドユニット)」を用いた機能実証実験に成功した。

●実験概要
両社はこれまで培ってきたノウハウを融合させた空の新たな輸送モードの構築を進めており、大型・中型eVTOL機(Electric Vertical Take-Off and Landing:電動垂直離着陸機)を活用した物流領域でグローバルリーダーになることを目指している。

両社はサービス導入の予定を2020年代前半に設定。それに向けた取り組み第1弾として、今回はそれぞれ開発したeVTOLシステム構成要素の連接性に関する機能実証実験を実施した。 
 
実証実験は現地時間の8月26日朝に実施され、ベルの社長兼最高経営責任者のMitch Snyder氏とヤマトHD代表取締役社長の長尾裕氏を含む約50名が参加。以下の項目が検証および証明された。
 
(1)APT 70の空力特性を最適化した姿勢での自律飛行
(2)飛行中および地上での作業時の高い安全性と可用性
(3)空輸からラストワンマイルへのシームレスな輸送形態の遷移
(4)荷物の格納および取り出しに関する取り扱いの容易さ

また、今回の成功を踏まえ、両社は2020年代前半までにAPT 70がヤマトの荷物輸送システムで導入され、前例のないオンデマンド物流サービスの顧客満足体験を創り出すことを目指す。

●実験に使用した機材
(1)ベル「APT 70」 
テイルシッター型の電動垂直離着陸機に革新的なペイロードポッドを搭載。同機は時速100マイル(時速160km)以上の速度で飛行し、70ポンド(32kg)の積載量になる。APTの能力によって完全に別次元の輸送サービスやオペレーション効率の向上が実現できる。
 
(2)ヤマトHD「PUPA 70XG」
APT 70等の貨物eVTOL機に結合して荷物を空輸することのできる貨物ユニットで、最大70ポンド(32kg)までの積載可能重量を持つ試験機となる。同機体は巡航中には高い空力特性を持つ一方、地上では様々な環境下で荷積み・荷下ろしや搬送を容易に行うことができる。「PUPA」シリーズは人間中心設計思想に基づき、ヤマトグループ100 年分の物流ノウハウを活かした未来の貨物ユニットとなる。 

●ベル「APT 70」(上)、ヤマトHD「PUPA 70XG」(下)

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