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日立物流など、事故ゼロ社会の実現でSSCV開発へ

2019/05/24

(株)日立物流および日立キャピタルグループの日立キャピタルオートリース(株)は5月24日、ドライバーにおける交通事故のリスクを定量的に評価する技術を開発したほか、運行前後における疲労度合いと、事故リスクの相関関係を確認したと発表した。

両社は国立研究開発法人理化学研究所生命機能科学研究センター、学校法人関西福祉科学大学、(株)日立製作所と2018年4月24日、「物流トラック運行管理における疲労科学に基づく事故リスク評価予測手法の開発」を目的とした共同研究契約を締結。これに基づき1年間研究を進めた結果、上記の研究成果が得られたという。

その成果をふまえ、今後はより多くのデータ蓄積により、ドライバーに対する安全運行支援ならびに管理支援技術の開発を図る。

●共同研究の概要と2018年度研究結果
研究目的:トラック運送業務におけるドライバーの疲労に着目した、運行中の事故リスクを低減する安全運行支援 技術の開発。 
 
研究内容と研究結果:トラック運送業務を対象に、
(1)ドライバー・車両から運転操作を表現するセンシング項目を取得、重篤な事故につながる事故リスクKPIを定義して、上記センシング項目からドライバーの事故リスクを評価するシステムを確立する。 
  結果:事故リスクの定量化 車載センサで取得した運転操作情報からヒヤリハット場面を抽出するアルゴリズムにより、単位時間あたりのヒヤリハット回数で事故リスクを定量的に評価する技術を開発した。

(2)事故リスクと同時にドライバーの疲労度合いを測定し、他の条件(運転スキル、環境条件など)とあわせた疲労と事故リスクの関係を解明、モデル化する。
  ・AIによる時系列多変量の相関性分析により、事故・ヒヤリハットに影響を与える状況を判断
  ・疲労科学に基づく事故リスクを評価
  結果:疲労度合いと事故リスクの関係 運行前後に疲労感アンケート(主観的な疲労度合い指標)と自律神経機能測定(客観的な疲労度合い測定指標)を実施し、事故リスクとの関係を分析した結果、運行前後に関わらず、疲労感が強い場合に事故リスクが高まる傾向を確認した。また自律神経機能測定では、運行前に日頃の蓄積した疲労が見られる場合や、運行後に特に強い疲労が見られる場合には事故リスクが高まる傾向を確認した。

●2019年度研究概要
2018年度の研究結果を踏まえ、運行中の疲労度合いを含めた、より多くのデータの蓄積による、ドライバーに対する適切なタイミングに適切なリコメンドを生成できる安全運行支援、および管理支援技術の開発。

●今後のソリューションへの展開
ドライバーを事故から守るとともに、労働環境の改善も目的としたソリューションに向けて、各種研究結果から得られた知見・データをSSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)に活かし、「安全運行管理」の機能として拡充させる。 
  ・機能1 運行前の生体データから予見される事故リスクをダッシュボードに明示し、管理者がドライバーの体調異常の判定を可能とする。(2018年度研究)
  ・機能2 運行中の生体異常の検知および管理者へ有事通知を可能とする。(2019年度研究)
  ・機能3 帰営時の運行の振り返りにより管理者のコーチングを可能とする。(2018年度研究)

●SSCV全体の流れと研究内容

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