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国内ブロックチェーン市場2022年度1,235億円へ

2019/05/22

(株)矢野経済研究所は5月22日、2019年度の国内ブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)が171億5,000万円となる見通しを発表した。

サプライチェーンや仮想通貨などを含めた価値流通におけるプラットフォーム等を中心に、様々な実証実験が行われており、中には商用化に向けた効果検証に進んでいる事例も出てきている。

ブロックチェーンは利用者同士をつなぐ P2P(ピアツーピア)ネットワーク上のコンピュータを活用し、権利移転取引等を記録、認証する仕組み。同技術はデータの改ざんができず、真正性が保証されていること等からブロックチェーンが登場した当初は仮想通貨の基盤として金融機関を中心に注目されてきた。

しかし、2017年後半~2018年にかけては金融機関に留まらず、幅広い業界でサプライチェーンや権利証明等、同技術を応用した実証実験を積極的に実施し、その活用可能性を見出しつつある。

昨今ではジビエ(野生鳥獣肉)のトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)のほか、美術品の権利移転や真贋証明等をはじめ利用が拡大しており、物流の透明性向上によるコスト削減や書類チェックに係る時間の短縮等、様々な成果を上げ始めている。今後、ブロックチェーンを活用したサービスが様々な分野で商用化へと進むことが期待される。

●注目トピック
BaaS(Blockchain as a Service)ソリューションの提供始まる
ブロックチェーンは主に3つのレイヤ(層)で構成されている。レイヤ1であるブロックチェーン基盤は複数登場しており、概ねBtoB向けやBtoC向け、IoT向け等、用途に応じて使い分けがされるような基盤も出てきている。その上にレイヤ2として、Colored Coin(※1)やLightning Network(※2)をはじめとしたブロックチェーンを補完する技術があり、国内のスタートアップ企業を中心に研究開発や具体的なソリューション開発等が進展している。レイヤ3ではブロックチェーンを活用した様々なアプリケーションが開発されており、いずれのレイヤでも大手IT事業者や国内スタートアップ企業を中心に、ユーザー企業とともに実証実験を進めている。

(※1)Colored Coinとは、ビットコインに色を付け、複数の種類の資産を流通させる仕組み
※2)Lightning Networkとは、ビットコインのブロックチェーンが抱えるスケーラビリティ(拡張性)や処理速度等の課題を解決するために開発されたソリューション

また、大手IT事業者を中心にブロックチェーン基盤からアプリケーションの構築まで支援するBaaS(Blockchain as a Service)ソリューションの提供が開始。ブロックチェーンの積極的な活用に向けた技術的な支援体制が整いつつある。

●将来展望
同研究所では、2022年度の国内ブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は1,235億9,000万円に達すると予測。2017年度~2022年度の5年間の年平均成長率(CAGR)は108.8%とみる。なお、フェーズ(段階)別では、実証実験が多いものの、2019年度以降、商用化に向けた効果検証フェーズや本格的な商用化フェーズへと進む案件が増えていくとみている。

​​現在、欧米を中心に多くの事業者を取り込んだ組織によるブロックチェーン活用に向けた実証実験が進められている。今後、ブロックチェーン活用における世界的な事業展開を行う上での存在感(プレゼンス)を高めるべく、日本発のブロックチェーンコンソーシアムの立上げが期待される。

●国内ブロックチェーン活用サービス市場規模推移予測

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