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帝人、大量の機密文書の管理用RFID棚管理システムを実用化

2014/02/06

帝人(株)(本社:大阪市中央区)が2011年12月より販売展開しているUHF帯のRFID(Radio Frequency Identification(電波による個体識別)の略。電波の送受信により、非接触でICチップの中のデータを読み書きする技術。商品などの識別、管理に利用される)による棚管理システム「Recopick」が、このたび、AGC(旭硝子(株)、本社:東京都千代田区)の6,000以上に及ぶ機密文書の管理用として採用されたことを発表した。このように数千規模の書類や書籍を一括管理するシステムが実用化されるのは世界で初めてのことだ。

「Recopick」は、2次元通信技術および同社のシート製造技術により開発された2次元通信シート「セルフォーム」(東京大学発のベンチャー企業である(株)セルクロスが開発した2次元通信技術「@CELL」と、帝人のシート製造技術を用いて開発した2次元通信シート。通信シートに信号を封じ込め、シート表面に発生する電磁波(エバネッセント波)を使って通信する。このシートを用いることで、2次元の「面」で情報を伝搬することができ、簡便な接続や情報漏洩リスクの少ない通信が可能となる)を活用した棚管理システム。これまで書籍・書類や様々な物品の管理は、レジやカウンターで1点ずつチェックするのが一般的だったが、このシステムを導入することにより、棚から物品が離れたり、戻されたりする瞬間を感知することができるため、その物品が手に取られた「時間」「回数」などのデータを活用し、これまで以上に精度の高い履歴管理や盗難防止などが可能となる。

従来の棚管理システムは、HF帯のICタグを利用するRFIDシステムが一般的だったが、このタグが比較的高価で、加えて複数の書類や書籍を一括して読み取ることができないため、数百冊程度の管理にしか使用されていなかった。

これに対し「Recopick」は、長距離での読み取りに優れるUHF帯を用いながら、複数のICタグを近距離で安定して読み取ることを可能にしたRFIDシステムだ。そのタグとして、積層性に優れたもの(今回は大日本印刷(株)製のものを使用)を採用することで、このたび数千規模の書類や書籍などを常時監視することが可能となり、それらの書類・書籍の有無や所在をリアルタイムに把握することを実現した。

AGCでは、このたびの「Recopick」採用により、入退室データに書籍の状態データを組み合わせることで、「いつ」「誰が」「何を」「どの程度の時間」持ち出したかを把握することが可能となった。これにより、従来は定期的に行っていた目視による棚卸し作業が不要となり、業務の効率化が図れるとともに、利用状況を容易に把握できることから、これまで以上に厳重な機密文書管理が可能となる。

既に図書館においては、貸出履歴のみならず、従来は把握できなかった館内限定書籍の利用動向をデータとして収集することを目的に、「Recopick」の採用が加速している。また、店舗においては、購入履歴のみならず、その商品が手に取られた回数や時間などのデータを把握・活用することにより、流行などを測定する新たなマーケティングツールとしての可能性に期待が高まっている。

同社では、こうして数千におよぶ書類や物品をリアルタイムで判別・管理できる特性から、今後、「Recopick」を薬品やファイルなどの管理ツールのデファクトスタンダードとすべく、さらに開発を進めていくという。

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